工事現場の防火管理と防火管理者の注意点

工事現場の防火管理
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工事現場で注意したい防火管理|火気・危険物・仮設環境に潜む火災リスク

工事現場は、完成後の建物とは異なる火災リスクを抱えています。

新築工事、改修工事、解体工事のいずれであっても、現場では火気を使用する作業、電動工具の使用、仮設電気の配線、塗料や接着剤などの危険物品の使用、資材や廃材の一時保管などが日常的に行われます。

完成後の建物であれば、消防用設備や避難経路、防火区画などが整備された状態で使用されます。しかし、工事中の建物では、消防用設備がまだ設置されていなかったり、一時的に使用できなかったり、避難経路が工事の進捗により変化したりすることがあります。

そのため、工事現場では「建物が完成していないから防火管理はまだ先でよい」という考え方は危険です。むしろ、工事中だからこそ、火災の発生を防ぐための管理体制を明確にし、現場全体でルールを共有する必要があります。

実際に、一定規模以上の新築工事中の建築物では、防火管理者の選任や、新築工事中の消防計画の作成・届出が必要となる場合があります。また、既存建物で増改築工事等を行う場合にも、通常時の消防計画では工事中の状況に対応できないことがあるため、工事中の消防計画の作成・届出が必要となるケースがあります。

ただし、必要となる手続きは、建物の規模、工事内容、工事中の収容人員、既存建物を使用しながらの工事かどうかなどによって異なります。そのため、対象となるか判断に迷う場合は、管轄消防署へ確認することが重要です。

当社でも、工事現場における防火管理者の外部委託を受託しており、工事中の消防計画の作成や、現場の防火管理体制づくりをサポートしています。

工事現場で火災が起こりやすい理由

工事現場で火災が起こりやすい理由の一つは、火気や熱を伴う作業が多いことです。

たとえば、溶接・溶断作業、グラインダーによる切断作業、バーナーを使用する防水工事、アスファルトの加熱作業などでは、火花や高温部が発生します。これらが周囲の可燃物に接触すると、火災につながるおそれがあります。

特に注意が必要なのは、火花が直接見えている範囲だけでなく、壁の裏側、床下、断熱材の隙間、資材の陰などに飛び込むことです。作業直後には異常がないように見えても、時間が経ってからくすぶり出し、作業終了後に火災となるケースもあります。

また、工事現場では、木材、段ボール、養生材、発泡スチロール、シート、防音材、廃材など、多くの可燃物が一時的に置かれます。これらが整理されずに積み上がっていると、火がついた際に一気に燃え広がる危険があります。

さらに、電動工具や照明、仮設電源の使用もリスクになります。コードリールを巻いたまま使用する、たこ足配線をする、損傷したコードを使い続ける、粉じんや水濡れのある場所で不適切に電気機器を使うと、発熱や短絡による出火につながる可能性があります。

近年は、電動工具のバッテリーや充電器の管理も重要です。充電場所の周囲に可燃物がないか、異常な発熱がないか、メーカーが指定する充電器やバッテリーを使用しているかなども、防火管理上の確認ポイントになります。

工事現場の火災事例については、東京消防庁が具体的な事例を紹介しています。バッテリー、アスファルト窯、溶断作業、接着剤の可燃性蒸気、グラインダーの火花、生石灰の発熱など、現場で起こり得る火災リスクを確認するうえで参考になります。

《参考》東京消防庁「工事現場」
https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/lfe/kasai/jirei/youto12.html

火気作業では「作業前・作業中・作業後」の管理が重要

工事現場の防火管理で特に重要なのが、火気作業の管理です。

火気作業とは、溶接、溶断、バーナー、グラインダー、アスファルト加熱など、火炎・火花・高温部を伴う作業をいいます。こうした作業では、作業者本人だけでなく、現場全体でルールを決めておく必要があります。

まず、作業前には、周囲の可燃物を撤去することが基本です。撤去できない場合には、不燃シートなどで適切に養生し、火花が届く範囲を確認します。近くに消火器を配置し、作業者がすぐに使用できる状態にしておくことも重要です。

また、同じ場所や近接した場所で、塗装、接着剤の使用、防水材の塗布などが行われていないかを確認する必要があります。可燃性蒸気が滞留している場所で火気を使用すると、引火する危険があります。火気作業そのものだけでなく、周辺で行われている別作業との組み合わせにも注意が必要です。

作業中は、火花の飛散方向、周囲の可燃物、他業種の作業状況を継続して確認します。必要に応じて火気監視者を配置し、作業者とは別の目で安全を確認することも有効です。

そして見落とされやすいのが、作業後の確認です。火気作業は、作業が終わった瞬間に安全が確保されるわけではありません。火花が資材の隙間や壁裏に入り、しばらく経ってから発火することがあります。作業終了後には、一定時間を置いて再確認し、焦げ臭さ、煙、異常な熱、くすぶりがないかを確認することが大切です。

工事現場の防火管理で特に重要なのが、火気作業の管理です。

危険物品・可燃物の管理を軽視しない

工事現場では、塗料、シンナー、接着剤、防水材、燃料、ガスボンベなど、火災につながりやすい物品が使われることがあります。

これらは、使用量が少量であっても、保管場所や使用方法を誤ると危険です。特に、可燃性蒸気が発生するものは、換気が不十分な場所で使用すると空気中に滞留し、火気や火花により引火するおそれがあります。

危険物品を扱う場合には、使用する物品の性質を把握し、必要以上に現場へ持ち込まないこと、火気から離して保管すること、使用後は容器を密閉すること、換気を確保することが重要です。また、資材や廃材の管理も防火管理の基本です。

工事現場では、作業の進行に伴い、可燃物が一時的に増えたり、避難経路付近に資材が置かれたりすることがあります。資材置場と作業場所、避難経路を明確に分け、廃材はこまめに搬出することが必要です。

「あとで片付ける」「少しの間だけ置いておく」という状態が積み重なると、火災時に延焼しやすくなるだけでなく、避難や初期消火の妨げにもなります。現場内の整理整頓は、作業効率のためだけでなく、防火管理上も重要な意味があります。

消防用設備や避難経路が使えないときの代替措置

既存建物で改修工事を行う場合には、工事の内容によって、消防用設備等や避難施設に一時的な支障が生じることがあります。

たとえば、自動火災報知設備の一部を停止する、スプリンクラー設備や屋内消火栓設備に影響が出る、誘導灯を一時的に取り外す、避難階段や通路の一部が使用できなくなる、といったケースです。

このような場合には、「工事中だから仕方ない」では済みません。設備や避難経路が通常どおり使えない期間は、代替措置を検討する必要があります。

具体的には、消火器の増設、巡回の強化、仮設の誘導表示、別経路の明示、作業員や関係者への周知、工事時間帯の調整などが考えられます。建物を使用しながら工事を行う場合には、利用者やテナント、従業員が安全に避難できるかを特に慎重に確認する必要があります。

東京消防庁では、既存建物の工事等について、工事期間中は通常時と防火管理体制が異なり、既に作成した消防計画では対応できないため、工事中の消防計画を作成し、管轄消防署へ届け出る必要があると案内しています。また、消防用設備等の工事により設備の機能を停止させるもの、または機能に著しく影響を及ぼすものも、工事中の消防計画の対象として示されています。

工事現場でも防火管理者が必要となるケースがある

防火管理者というと、完成後のオフィスビル、店舗、マンション、病院、福祉施設などで選任されるものというイメージが強いかもしれません。しかし、工事現場でも、防火管理者の選任が必要となるケースがあります。

東京消防庁の案内では、一定規模以上の新築工事中の建築物について、工事現場の作業管理や工事に関する物品管理等に係る管理権原を有する工事の受注者等が、防火管理者を選任し、管轄消防署へ届け出る必要があるとされています。

対象となるのは、外壁および床または屋根を有する部分が一定規模以上で、電気工事等の工事中であり、かつ工事中の収容人員が50人以上となる建築物です。具体的には、地階を除く階数が11以上かつ延べ面積10,000㎡以上のもの、延べ面積50,000㎡以上のもの、地階の床面積の合計が5,000㎡以上のものなどが該当します。

一方で、東京消防庁の指導基準に基づき、防火管理者の選任・届出までは不要であっても、新築工事中の消防計画の届出が必要となるケースもあります。この場合は、工事施工責任者が新築工事中の消防計画を作成し、管轄消防署へ届け出ることとされています。

また、現に使用中の建物で増改築工事等を行う場合にも、既存の消防計画では工事中の状況に対応できないことがあるため、工事中の消防計画の作成・届出が必要となる場合があります。

このように、工事現場の防火管理は、現場の規模、作業員数、建物の構造、工事内容、既存建物を使用しながらの工事かどうかなどによって、必要な対応が変わります。

対象になるか判断に迷う場合は、早めに管轄消防署へ確認することが重要です。

工事中の消防計画で定めるべきこと

工事中の消防計画は、単なる届出書類ではありません。現場で火災を起こさないため、また万が一火災が発生した場合に被害を最小限に抑えるための実行計画です。

新築工事中の消防計画では、自衛消防の組織、消火器等の点検・整備、避難経路の維持管理、火気の使用や取扱いの監督、工事中に使用する危険物等の管理、防火管理上必要な教育、消火・通報・避難訓練、災害発生時の消火活動や避難誘導、消防機関との連絡などを定めます。

既存建物での工事中の消防計画では、工事計画や施工内容、防火管理体制、工事人への教育・訓練、消防計画の周知、工事に伴う特異事項などを整理します。該当する場合には、消防用設備等や避難施設に支障が生じる際の代替措置、火災発生危険への対策、危険物品の管理についても定める必要があります。

大切なのは、計画を作成して終わりにしないことです。

工事現場では、工程が日々変わります。作業場所、作業人数、資材の配置、火気作業の有無、使用できる避難経路、消防用設備等の状態も変化します。そのため、消防計画の内容が現場実態と合っているかを継続的に確認し、必要に応じて見直すことが重要です。

工事現場における防火管理外部委託

当社では、工事現場において防火管理者の選任が必要となるケースについて、防火管理者の外部委託を受託しています。

工事現場の防火管理は、通常の建物管理とは異なり、工程や作業内容の変化に応じた実務的な対応が求められます。火気作業、危険物品の使用、仮設電気、資材置場、避難経路、消防用設備等への影響など、確認すべきポイントが多く、現場担当者だけで対応しようとすると負担が大きくなることがあります。

当社では、工事内容や建物の状況を確認したうえで、必要な防火管理体制の整理、消防計画の作成、消防署への届出、現場で注意すべきポイントの確認などをサポートします。

また、工事期間中は、工程の変更や作業内容の追加により、防火管理上の注意点が変わることがあります。必要に応じて、現場の状況に合わせた確認や見直しを行うことで、形式的な届出にとどまらない、実効性のある防火管理につなげることができます。

工事現場の防火管理で大切なのは、現場の作業を止めることではありません。火災につながるポイントを事前に把握し、作業前・作業中・作業後に確認し、危険な状態を放置しない仕組みを作ることです。

工事中の建物は、完成後の建物よりも防火上不安定な状態にあります。だからこそ、工事現場に合った防火管理体制を整え、火気、危険物、仮設設備、避難経路、消防用設備等への影響を継続的に確認することが重要です。

工事現場でも、防火管理者が必要となるケースがあります。また、防火管理者の選任までは不要であっても、工事中の消防計画が必要となるケースもあります。

対象となるかどうか、どのような消防計画が必要か、現場でどのような防火管理を行うべきか迷う場合は、早めに確認し、必要な対応を進めておくことが、火災予防と工事関係者の安全につながります。

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