電子レンジの長時間加熱に注意|さつまいも・冷凍食品・包装表示に潜む火災リスク
電子レンジは、家庭や職場で日常的に使われている身近な家電です。火を使わないため安全なイメージがありますが、食品を必要以上に長時間加熱すると、発煙や出火につながることがあります。
特に注意が必要なのが、食品を必要以上に長時間加熱することです。見た目には水分がありそうな食品でも、加熱が進むと内部の水分が減り、温度が上がりすぎて煙が出たり、場合によっては燃え出したりすることがあります。
東京消防庁の火災事例でも、電子レンジでさつまいもを長時間加熱したことにより出火した事例が紹介されています。
この事例では、共同住宅の居室内で、居住者がさつまいもを丸ごとラップで包み、電子レンジを600Wに設定して15分間加熱していたところ、煙が出ていることに気づきました。その後、電子レンジからさつまいもを取り出し、シンクで水をかけて初期消火を行い、119番通報をしています。
幸い大きな延焼には至らなかったものの、建物の内壁が一部焼損する火災となりました。
東京消防庁は、この火災について、食品を必要以上に加熱したことが出火につながったと説明しています。電子レンジは、食品に含まれる水分に作用して食品を加熱する仕組みです。そのため、水分が少ない食品や、加熱によって水分が抜けやすい食品は、長時間加熱すると発煙や出火の危険があります。
電子レンジは身近な家電だからこそ、中まで火を通したいから長く加熱しようという判断が、思わぬ火災につながることがあります。
《参考》東京消防庁「電子レンジでさつまいもが過熱され出火した火災」https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/content/kasaijirei/000058855.pdf
なぜ電子レンジで食品が燃えるのか
電子レンジは、食品の中にある水分に作用して食品を温めます。一般的には、食品に含まれる水分が電子レンジのマイクロ波によって振動し、その摩擦熱で温度が上がります。水分が十分にある間は、食品は温められる状態が続きます。
しかし、加熱時間が長くなると、食品に含まれる水分が蒸発し、徐々に少なくなっていきます。その状態でさらに加熱を続けると、食品の温度が急激に上がり、焦げや炭化が進んで、発火につながる危険があります。紙や木と同様に、食品も乾燥し、温度が上がりすぎれば燃える可能性があります。
特に、東京消防庁の事例で紹介されているさつまいもなどのいも類は、水分が少なくなるまで長時間加熱すると急速に燃える危険があります。そのほか、水分が少ない食品や乾燥しやすい食品を温める際も、加熱しすぎには注意が必要です。
「長めに加熱」が危険になる食品
電子レンジ火災で特に注意したいのは、加熱時間の設定です。
冷たい食品を温めるとき、「まだ冷たいかもしれない」「中までしっかり温めたい」と考えて、表示時間より長く加熱してしまうことがあります。特に冷凍食品や厚みのある食品では、中心まで温まっているか不安になり、つい長めに設定しがちです。
しかし、電子レンジは食品の種類や量、形、容器、ラップの有無、出力ワット数によって加熱の進み方が変わります。たとえば、500Wで3分と表示されている食品を、600Wや700Wで同じ時間加熱すると、想定より強く加熱されることがあります。
さつまいもやじゃがいものように厚みのある食品は、短時間では中心まで温まりにくい一方で、長時間加熱すると内部の水分が抜けて高温になりやすい食品です。電子レンジで加熱する場合は、一度に長時間加熱するのではなく、短い時間で区切り、途中で様子を見ながら加熱することが大切です。
また、電子レンジを使う際は、食品そのものだけでなく、包装や容器にも注意が必要です。
冷凍食品、惣菜、レトルト食品、弁当などには、「袋ごと電子レンジ不可」「フタを外して加熱」「必ず皿に移して加熱」「加熱前に切り込みを入れる」などの表示がある場合があります。
これらの表示を確認せずに加熱すると、包装が破裂したり、容器が変形したり、発煙や発火につながったりするおそれがあります。
特に、アルミが使われている包装、金属製の容器、金属の装飾がある皿、アルミホイルなどは電子レンジで使用できません。火花が出たり、庫内で発火したりする危険があります。
また、「電子レンジ対応」と表示されていないプラスチック容器を使用すると、熱で変形したり、溶けたりすることがあります。容器の変形や焦げが、食品の異常加熱につながる可能性もあります。電子レンジを使う前には、食品の加熱時間だけでなく、包装や容器の表示を確認することが重要です。

加熱中はその場を離れない
電子レンジは、スイッチを押せば自動で止まるため、加熱中にその場を離れてしまいがちです。
しかし、長時間加熱や高出力での加熱を行う場合は、食品の様子を確認できる場所にいることが大切です。特に、初めて温める食品、表示がよくわからない食品、さつまいもなどの水分が抜けやすい食品を加熱するときは注意が必要です。
煙や焦げ臭さに早く気づけば、被害を小さくできる可能性があります。反対に、加熱中にその場を離れてしまうと、煙が出ていることに気づくのが遅れ、火災が拡大するおそれがあります。
東京消防庁の事例でも、居住者が煙に気づき、電子レンジから食品を取り出して初期消火を行ったことが紹介されています。異常に早く気づくためにも、長めに加熱する際はその場を離れず、様子を確認することが大切です。
電子レンジは便利な家電ですが、加熱中に完全に目を離してよいものではありません。特に長めの加熱を行うときは、途中で様子を確認し、必要に応じて加熱を止めることが大切です。
万一、電子レンジから火や煙が出たら
万一、電子レンジの庫内から火や煙が出た場合は、慌てて扉を開けないことが大切です。扉を開けると庫内に空気が入り、火が大きくなるおそれがあります。
まずは電子レンジの運転を停止し、安全にできる場合は電源プラグを抜きます。そのうえで、扉は開けずに火や煙の状況を確認し、火や煙が収まらない場合や少しでも危険を感じる場合は、無理に対応せず、すぐに119番通報してください。
火が小さいように見えても、扉を開けて水をかける、燃えている食品を無理に取り出すといった対応は、やけどや延焼につながるおそれがあります。消火器が近くにあり、身の安全を確保したうえで使用できる場合等を除き、無理な初期消火は避けることが重要です。
電子レンジ火災は、家庭、事務所、社員寮、高齢者施設、学校、店舗など、電子レンジが置かれている場所であれば、どこでも起こり得ます。
電子レンジを使うときは、食品や包装の表示を確認し、適切な加熱時間を守り、加熱中はできるだけ様子を見る。そして、万一火や煙が出た場合は、慌てて扉を開けず、安全を最優先に行動することが大切です。
便利な家電を安全に使い続けるためにも、電子レンジでの長時間加熱には十分注意しましょう。








