公園で手持ち花火を認める動き|東京都内の事例を深掘り
夏の夜、家族や友人と楽しむ手持ち花火は、昔から親しまれてきた季節の風物詩です。しかし近年は、煙や騒音、火災、ごみの放置などを理由に、公園での花火を禁止している自治体も多く、「花火を買っても、どこで遊べばよいのか分からない」という声も聞かれます。
そうした中、全国各地では、利用できる場所や時間、花火の種類などを定めたうえで、公園での手持ち花火を認めたり、期間限定で試行したりする動きが見られるようになりました。
本コラムでは、その一例として東京都内の取り組みを詳しく紹介するとともに、手持ち花火による火災や事故を防ぐための遊び方、使用後や未使用の花火の正しい処分方法について解説します。
東京都内では、以前から一定の条件のもとで手持ち花火を認めていた区に加え、近年、これまで原則禁止としていた区でも、期間や場所を限定した試行が行われています。2026年夏には、練馬区や板橋区でも一部の区立公園で手持ち花火の利用が試行されるなど、花火を楽しめる場所が少しずつ増えています。
ただし、「公園で花火が解禁された」という言葉だけで判断するのは危険です。多くの場合、認められているのは指定された日時・場所で行う手持ち花火だけであり、すべての公園で自由に花火ができるわけではありません。
「解禁」ではなく、ルールを設けた限定的な利用
東京都内で進んでいるのは、公園での花火を全面的に認める動きではありません。利用者が一定のルールを守ることを前提として、手持ち花火を限定的に認める取り組みです。
具体的には、利用できる公園、園内の指定エリア、実施期間、時間帯、利用者などが細かく定められています。さらに、水入りバケツの持参、ごみの持ち帰り、子どもへの大人の付き添い、強風時の利用禁止などを条件としている自治体もあります。
使用できる花火の種類にも制限があります。認められているのは手持ち花火だけとし、打ち上げ花火、ロケット花火、吹き出し花火、爆竹など、飛ぶ花火や大きな音が出る花火を禁止しているケースが一般的です。
例えば板橋区では、2026年8月の土曜日、日曜日、祝日に、区内の一部公園で手持ち花火の利用を試行しています。利用時間や対象者、花火ができるエリアなどを定めているほか、ルールが守られない場合は、試行を中止して再び花火を禁止する可能性があることも明記されています。
このように、都内で広がっているのは無条件の解禁ではなく、「利用者がルールを守ることを前提とした限定的な利用」です。
《参考》板橋区「公園における手持ち花火規制緩和について」
https://www.city.itabashi.tokyo.jp/bousai/kouen/riyou/1064170.html
花火ができる公園か、事前に確認する
ルールを守って花火を楽しむために、まず確認しなければならないのが、その公園で花火が認められているかどうかです。
花火ができる公園は、自治体や公園によって異なります。同じ区内であっても、利用できる公園と禁止されている公園が分かれている場合があります。
さらに、花火が認められている公園でも、夏休み期間中だけ、特定の曜日だけ、午後6時から8時までなど、利用できる期間や時間が限定されていることがあります。公園内でも、舗装された広場などの指定エリア以外では、花火ができないケースが少なくありません。
そのため、「昨年はできた」「別の公園ではできた」という情報だけで判断するのは避けるべきです。試行期間が終了していたり、利用ルールが変更されていたりする可能性があります。
花火をする前には、自治体の公式ホームページや公園内の掲示を確認し、利用できる日、時間、エリア、花火の種類を確かめることが大切です。
手持ち花火でも火災は発生する
利用できる場所や時間を守ることはもちろんですが、花火そのものが持つ危険性にも注意しなければなりません。手持ち花火は小さく見えても、火薬を使用した製品です。使い方を誤れば、火災ややけどにつながる可能性があります。
総務省消防庁によると、花火による火遊びが原因となった火災は、2024年中に7件、2025年中には18件発生しています。なお、2025年の数字は速報値です。
この数字だけから、花火による火災が長期的な増加傾向にあるとまでは断定できません。しかし、花火が原因となる火災が実際に発生していることは確かです。
花火から出る火花は小さくても、枯れ草や落ち葉、紙くずなどに触れると着火する可能性があります。特に空気が乾燥している日や風が強い日は、火花が離れた場所まで飛び、思わぬところから燃え広がる危険があります。
こうした火災を防ぐため、総務省消防庁は、風の強い日は花火をしないこと、燃えやすいものがない広くて安全な場所を選ぶこと、子どもだけで遊ばせないこと、説明書や注意事項を守ること、水を入れたバケツを用意することを呼びかけています。
《出典》総務省消防庁「火遊び・花火による火災の防止」
https://www.fdma.go.jp/publication/ugoki/items/rei_0807_22.pdf
床や衣服が燃えた事例も
日本煙火協会が公表している事故事例には、ベランダで手持ち花火を使用していたところ、花火が爆発し、飛び散った火の塊によって室内の床と座椅子が焦げたケースがあります。また、自宅のガレージで遊んでいた際に、綿製のロングスカートへ火が燃え移り、衣服の一部が焼けるとともに、両手のひらにやけどを負ったケースも報告されています。
さらに、公園で手持ち花火をしていた小学生の浴衣に火が燃え移り、腕に重いやけどを負った事故も発生しています。この事故では、火がついたことに驚いた小学生が走り回ったため、火の勢いが増し、被害が大きくなったとされています。
これらの事例から分かるように、花火の火は周囲の物だけでなく、身につけている衣服にも燃え移る可能性があります。特に、浴衣やロングスカートなど、裾や袖の広い衣服は、花火や点火用ローソクの火に触れやすいうえ、着火しても本人から見えにくいため注意が必要です。
万一、衣服に火がついた場合は、慌てて走らないことが重要です。まずはすぐに水をかけるか、着火した部分をたたいて消火してください。水がない場合は、その場で地面に転がり、燃えている部分を地面に押し付けて火を消しましょう。
《出典・参考》公益社団法人日本煙火協会「安全とマナー」「事故事例」「花火入門」
https://www.hanabi-jpa.jp/

水入りバケツは、火をつける前に準備する
実際に花火を始める際は、火をつけてから慌てることがないよう、必要な物を事前にそろえておきましょう。
特に欠かせないのが、水を入れたバケツです。衣服や周囲の物に火がついた場合でもすぐに対応できるよう、手の届く場所に置いておきます。あわせて、使用後の花火を持ち帰るためのごみ袋も用意しましょう。
準備ができたら、次に花火をする場所を確認します。必ず公園内の指定エリアを利用し、芝生や植え込み、枯れ草、落ち葉、木製ベンチ、建物、自動車など、火が燃え移る可能性のあるものから十分な距離を取ってください。
場所に問題がなくても、風が強い日は花火を中止する必要があります。強風によって火花が予想以上に遠くまで飛ばされ、離れた場所の枯れ草や落ち葉などに着火する可能性があるためです。
場所と天候の安全を確認したら、花火に表示されている使用方法を読み、ローソクや線香を使って一本ずつ点火します。複数の花火に一度に火をつけたり、着火しにくい花火をライターで長時間あぶったりする行為は危険です。
また、途中で火が消れた花火や、点火しても燃えなかった花火に、顔や手を近づけてはいけません。すぐに点火し直すことも避け、使用済みの花火と同じように水につけて処理しましょう。
花火に火がついた後は、人や衣服に向けず、腕を伸ばして体から離して持ちます。子どもが花火を持ったまま走ったり、振り回したりしないよう、大人がすぐ近くで見守ることも大切です。
「手持ち花火のみ」は、すべての家庭用花火という意味ではない
安全な使い方とあわせて確認したいのが、公園に持ち込む花火の種類です。
「手持ち花火が利用できる」と聞いて、市販されている家庭用花火なら、どれでも使用できると考えてはいけません。複数の種類が入った花火セットには、一般的な手持ち花火だけでなく、地面に置いて使用する吹き出し花火や、音の出る花火が含まれている場合があります。
多くの公園で認められているのは、利用者が手に持って使用する一般的な手持ち花火だけです。吹き出し花火、打ち上げ花火、ロケット花火、爆竹などは、使用できないことが一般的です。
見た目だけで判断せず、パッケージに表示された花火の種類と遊び方を確認してください。利用できるか分からない花火は、公園に持ち込まないのが安全です。
使用後の花火は、必ず水につける
花火の安全管理は、火が消えた時点で終わりではありません。使用後の処理まで確実に行う必要があります。
遊び終わった花火は、その都度、水を入れたバケツに入れます。すべての花火が終わってからまとめて水をかけるだけでは、筒の内部や火薬部分に火種が残る可能性があります。途中で火が消えた花火や、点火しても燃えなかった花火も、再度点火しようとせず、そのまま水につけてください。
すべての花火を水に浸した後は、周囲に燃えかすや火花が落ちていないかを確認します。ごみは公園のごみ箱には捨てず、必ず持ち帰りましょう。
持ち帰った花火の分別方法は、自治体によって異なります。可燃ごみとして回収する自治体もありますが、水に浸す時間やごみの出し方について、独自のルールを設けている場合があります。処分する前に、居住する自治体の案内を確認してください。
未使用の花火をそのまま捨てない
使用後の花火だけでなく、使わずに余った花火の処分にも注意が必要です。
未使用の花火には火薬が残っているため、そのままごみ袋に入れると、ごみ収集車や処理施設で発火し、火災につながる危険があります。
日本煙火協会は、どうしてもおもちゃ花火を処分しなければならない場合、水をたっぷり入れたバケツに1日以上浸した後、少量ずつごみ袋に入れ、可燃ごみとして処分するよう案内しています。
ただし、ごみの分別や処分方法は自治体によって異なります。「1日以上水に浸せば、どこの自治体でも可燃ごみに出せる」という意味ではありません。十分に水に浸した後も、居住する自治体の分別方法に従ってください。
また、未使用の花火を軽く濡らすだけで済ませたり、水に浸した後に再び乾燥させたりしてはいけません。処分しやすくするために、花火を分解・切断する行為も危険です。
大量の花火や特殊な構造の花火を処分する場合は、自己判断で処理せず、自治体や販売店に相談しましょう。
公園でできても、道路や共同住宅でできるとは限らない
公園で手持ち花火が認められている地域であっても、道路、駐車場、共同住宅の敷地内などで、自由に花火ができるとは限りません。
マンションやアパートの敷地、屋上、中庭、駐車場、共用廊下などでは、建物の管理規約や所有者・管理者が定めたルールに従う必要があります。近くの公園で花火が認められているからといって、建物の敷地内でも使用できると判断してはいけません。
特にベランダや共用廊下では、洗濯物、室外機、建物の外壁、室内の家具などに火が燃え移る危険があります。煙や火によって避難経路に影響を及ぼす可能性もあるため、花火の使用は避けるべきです。
花火を楽しめる場所を守るのも利用者の役割
東京都内で、ルールを設けたうえで手持ち花火を認める公園が増えていることは、子どもや家族にとってうれしい変化です。
その一方で、火災ややけど、騒音、ごみの放置などが続けば、利用が再び禁止される可能性があります。「解禁されたから自由にできる」のではなく、「決められたルールを守ることを条件に利用できる」と考えることが大切です。
まずは指定された場所と時間を守り、火をつける前に水入りバケツを用意します。遊び終わった花火は確実に消火し、周囲に燃えかすが残っていないことを確認したうえで、ごみを持ち帰ります。
つまり、花火は火が消えたら終わりではありません。準備から後片付けまで責任を持って行うことが、火災や事故を防ぎ、これからも身近な場所で花火を楽しめる環境を守ることにつながります。



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