防火管理者として「その時の状況に応じて」対応する業務とは

適宜対応が求められる防火管理者の業務

防火管理者外部委託サービスは、防火管理者に必要とされる業務をワンパッケージで提供するサービスです。当社と業務委託契約を結ぶ際の契約書には、当社が実施する防火管理者業務が9項目にわたって記載されています。この中で、以下の業務に関しては文末に「適宜」と記されていますが、その理由についての質問をいただきましたので、本コラムで紹介したいと思います。

それぞれの業務について解説します。

消防署の査察（立入検査）立会い、折衝、及び管理状態の適法性に関する照会（適宜）
消防署の査察は当社がコントロールできる性質のものではなく、査察の実施頻度等は自治体によって異なります。契約物件の査察が行われる場合、当社が防火管理者として責任をもって立ち会います。その際、日常的に取り組んでいる防火管理活動等が確認されますが、査察担当者に理解してもらえるようにしっかりと説明しますのでご安心ください。また、査察の結果、指摘事項がある場合、通常は2週間以内に「改善報告書」を消防署に提出するよう求められます。改善報告書の作成と提出は、管理権原者と相談しながら当社で対応します。しかし、改善報告書の提出要否が物件ごとに異なり、さらに契約中に査察が実施されない物件も存在するため、文末に「適宜」と表記しています。
なお、消防査察で不備が指摘されたにもかかわらず、具体的な対策を実施しない例がありますが、これは大きなリスクを伴います。その一つとして、ホームページで公表されるリスクがあります。詳しくは「消防査察の違反は放置禁物！ホームページで公表されるリスク」というコラムをご覧ください。

お客様より提供された消防用設備等点検結果報告書の内容確認及び当該点検業者へのヒアリング（適宜）
お客様から消防設備等点検結果報告書が当社に提出された場合、防火管理者として消防設備に異常がないかを確認し、巡回防火点検の参考にします。巡回防火点検は、防火管理者業務の一環として月に1回、当社のスタッフがお客様の物件に伺って防火管理に特化した点検を実施します。この点検は消防計画に則って防火管理者の責任で行われる自主点検で、法律によって義務付けられた消防設備等点検とは性質が異なり、必ずしも消防設備士のような有資格者が点検する必要はありません。そのため、消防設備点検報告書を確認することで、専門家にしかわからない不備が判明することがあります。状況によっては、お客様の同意を得て消防設備点検業者にヒアリングを実施する可能性がありますが、この要否は物件によって異なるため「適宜」と表記しています。

巡回防火点検及び本点検結果に基づくお客様への報告、是正事項の指摘、改善提案（適宜）
巡回防火点検を実施した場合、本点検結果に基づく点検報告書をお客様に都度提出します。そのため、この点に関して「適宜」という表現は当てはまりません。しかし、本点検に伴う是正事項や改善提案の有無は物件によって異なるため、「適宜」と表記しています。是正事項がある場合も点検報告書で必ず報告しますが、防火管理上極めて危険な状況であるなど、緊急を要する場合はお客様に別途連絡を行い、即時改善に向けた行動を取ります。建物オーナー様と協力して危険な状況を改善した実例があります。詳細は、「消防署の査察（立入検査）の指摘を短期間で解消した方法」というコラムを参考にしてください。

対象物件の建物の入居者に対する防火に関する広報の実施（掲示又は配布の適宜実施）
ポストの設置がないなど特殊な状況でない限り、年に1～2回実施される消防訓練の際には、「避難・消火・通報」の要点が理解できる「消防訓練の手引き」を全戸に投函しています。また、防火の重要性を呼びかける掲示物も用意していますが、この掲示物は全物件を対象にしているわけではなく、要望がある物件に限り掲示板などに貼付しています。当社が用意する掲示物はイラストがメインで一目で防火への取り組みがわかるように作成されているため、物件によっては雰囲気にそぐわない可能性があります。

当社が提供するサービスにおいて、契約書を締結する際、不明点などがありましたら遠慮なくご質問ください。