物流センターにも必要な防火管理者
物流センターに入居するテナントからのご契約をいただきました。
倉庫の防火管理者はすでに数件受託していますが、物流センターとなると1つのテナントとはいえ、その規模が違うと感じるのが正直な感想です。
物流センターは、単なる倉庫と異なり、商品の保管だけでなく、入荷して出荷するまでの作業を一手に引き受けています。昨今では、ネットビジネスの広がり等を受けて、首都圏をはじめ、さまざな箇所で物流センターが開業しています。
物流センターが活用されている現状とその理由は次のとおりです。
- ECの拡大
オンラインショッピングの普及により、商品の発送が増え、物流センターの需要が高まっている。そのため、多くのEC企業に、顧客への迅速な配送を実現するために、都心近くに物流センターを構えるトレンドが見られる。 - 在庫管理
物流センターは、高度化したIT技術を駆使し、在庫管理の最適化を実現し、無駄な在庫を減らすことができる。 - 複雑化する配送網
グローバル化の進展により、国内外からの商品の取り扱いが増えている。これに対応するために、物流センターでの国際的な物流ネットワークの構築や連携が求められている。 - 技術の進化
オートメーションやロボティクス技術の導入により、物流センターの効率性や精度が向上している。さらには、AIやビッグデータの活用により、需要予測や最適ルートの計算など、より効率的な運営が可能となっている。 - 消費者のニーズの変化
今日の消費者は、迅速な配送や複数の配送オプション(例: 即日配送、指定時間配送など)を求めている。 - サステナビリティの取り組み
効率的なルートの選定や、エネルギー効率の良い物流センターの設計など、サステナビリティの観点からの最適化が進められている。
このように、物流センターは出荷までの作業を一元化するため、広大な敷地に位置することが大きな特徴です。
また、入居するテナントの床面積も広く、場合によっては、1つのテナントの点検時間が60分以上かかるケースもあります。
建物の防火管理者とテナントの防火管理者がセットの場合、入居するテナントの月額は1,650円(税込)と、リーズナブルな価格設定となっていますが、テナントの広さが10,000㎡を超える場合には追加料金が発生します。
とは言え、10,000㎡は野球場くらいの広さであるため、建物共用部とセットで委託される大部分のテナントは、基本的には定額での契約が可能です。
物流センター(倉庫)の防火管理業務において、気をつけなければならないポイントは次の通りです。
避難経路の確保:
基本的には、歩行者用の通路を確保するために、テープや色分けで区間を仕切るなどの工夫が施されています。この通路は避難経路にもなるため、通路上に荷物などが置かれないよう注意してください。
防火戸や防火シャッターの整備:
基本的に防火戸(防火シャッター)が設置されていますが、火災発生時に荷物が邪魔で防火戸が機能しないということがないよう注意してください。倉庫内には段ボールなど燃えやすい物質が多く存在するため、防火戸が正常に機能することは、他エリアへの燃え広がりを防ぐための重要なキーとなります。防火戸の重要性については、新宿・歌舞伎町ビル火災から学ぶ「防火戸の役割」というコラムをぜひ参考にしてください。
消火器の設置と整備:
消火器は歩行距離20m以内(大型消火器は30m以内)に設置し、かつ、見えやすい位置に消火器の存在を示す標識を設置してください。また、いざという時に消火器が問題なく使用できるよう、普段から整備に努めることが大切です。消火器の整備については、防火管理者の役割としてチェックしたい『消火器の不備』というコラムをぜひ参考にしてください。
誘導等や非常ボタンのランプ切れ:
火災発生時に停電が伴うことは珍しいことではありません。そのようなときでも、迅速な避難と通報ができるよう、誘導灯や火災報知設備等のランプ切れには注意をお願いします。これらは常に点灯しているため、日常の生活の中で容易に気づくことができます。
日常の防火管理:
火災という大惨事から人命を守る責務は、防火管理業務の推進責任者である防火管理者にかかっています。常日頃から、いざというときに消防設備が正常に稼働するよう点検をお願いします。また、消火器の使用方法や避難経路を学べる消防訓練の実施は、防火管理者の重要な業務となりますので必ず実施するようにしてください。消防訓練の未実施が重大な火災事故につながったケースもあります。
物流センター(倉庫)の防火管理者も、全国対応・経験豊富なメルすみごこち事務所にお任せください。