「ほかの消防署ではテナントの防火管理者の外部委託を認めていますか？」
防火管理者のこづっきです。
お客様から防火管理者の外部委託についてお問い合わせがあった際には、防火管理者を自ら選任できない理由などを聴取した上で、管轄する消防署に当社による外部委託が可能かどうかを尋ねることから始めます。先日、テナントから防火管理者に関するお問い合わせがあり、管轄消防署の予防課に連絡を取りました。その際、嬉しい質問をいただきましたのでご紹介します。
「防火管理のプロであるメルさんに聞きたいんですが、ほかの消防署ではテナントの防火管理者の外部委託は認めていますか？認めている場合、どのような条件でしょうか？」
私たちを防火管理のプロとおっしゃっていただき、それこそ防火管理のプロ中のプロである消防署の予防課の方に質問をいただくことは大変光栄なことです。
防火管理者外部委託の可否判断は、各消防署の権限によって行われます。防火対象物に必要とされる防火管理者は、収容人員（防火対象物に出入りし、勤務し、または居住する人の数）などに応じて必要とされる条件が変わります。そのため、大規模な建物や不特定多数の人が利用する商業ビルが集中する、いわゆるアーバンエリアでは、防火管理者が必要とされる条件が厳しくなり、結果として防火管理者の外部委託ニーズが高まる傾向にあります。
このため、地域特性によって防火管理者の外部委託についての問い合わせが多い消防署とそうでない消防署との間には自然と差が生じますが、お問い合わせいただいた消防署はローカルエリアに存在するというわけではなく、首都圏に位置する中堅都市にあります。テナント防火管理者の外部委託は、建物全体の防火管理者と違い、消防署への問い合わせが多くないのかもしれません。
消防署の担当者からいただいた質問に対する当社の回答は以下の通りとしました。
■テナントの防火管理者を他の消防署でも認めているか
テナントの防火管理者を原則として認めないという方針を取っている消防署も一部にはありますが、東京消防庁では外部委託を認める場合の基準をホームページ上で公開しています。その基準を満たす場合は、東京消防庁管轄内および近隣エリアの消防署も、テナントの防火管理者の外部委託を認める傾向にあります。日常的に火を取り扱うテナントがある一方で、そうでないテナントも存在します。このため、各消防署は状況に応じて判断を下していると思われます。
■テナントの防火管理者を認めるとすれば、どのような条件か
これは客観的な判断のもとでありますが、全ての地域において、東京消防庁が定めるルールに似た基準が適用されるようです。
≪出典≫東京消防庁：防火管理者の業務の委託について
https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/lfe/office_adv/jissen/p06.html
防火管理者の業務の委託を認める場合の基準
- 東京消防庁管外に勤務している。
- 身体的な事由（高齢・病気等）がある。
- 日本語が不自由である。
- 従業員がいない又は極めて少ない。
- その他消防署長が認める事由がある。
■テナント防火管理者としての活動について
消防計画の作成や消防訓練の実施など、防火管理者に求められる業務を全て担います。その中でも、日常的な防火管理業務については、契約形態に応じて異なる場合がありますが、基本的には毎月1回テナントを訪問し、防火管理に特化した点検を実施し、その都度報告書を作成してテナントの管理権原者に提出します。防火点検時に防火管理上の不備が見つかった場合は適切な対策を講じます。具体的には、避難経路を妨げる可能性のある私物の残置が確認された場合、テナントの従業員に対して口頭で注意するなど状況の改善を促します。また、テナント内に設置された消火器に不備がある場合は、管理権原者へ対応を依頼します。
