分譲マンションの管理組合で、ベランダでの喫煙を禁止するところが増えてきた背景の一つとして、前回ブログで「近隣住民の副流煙被害」を書きました。
ベランダでのタバコを禁じる背景2:吸い殻から火災
煙と同じくらい問題なのが「吸い殻」に起因する火災事故です。
吸い殻に起因する事故は意外と多く、火災事故件数が全体的に減少傾向の中、ベランダ喫煙に起因する事故は増加傾向にあるようです。
室内で家族から拒絶され、泣く泣くホタル族になっている愛煙家の皆さん。
でも一部のマナーを守らずモラルのない方の存在が、ホタルタバコすら禁止されかねないのが今の世の中です。
以下は、9月28日のニュース記事から。
^^^毎日新聞WEB(9月28日)より転載^^^^^^^^^^^^^^^^^^
たばこによる建物火災のうち、ベランダが出火場所になった件数が2005年の162件から、昨年は273件に増加したことが総務省消防庁への取材で分かった。
この間、建物火災の総数は減ったのにベランダ分は111件も増えている。室内での受動喫煙を避けるためベランダでたばこを吸う「ホタル族」の増加が原因だとして、消防関係者は火災防止を訴えている。
消防庁によると、05年のたばこによる建物火災は3495件。うち出火場所がベランダのものは162件で、それ以外の場所は3333件だった。
昨年は全体の件数が2368件と1127件減少したのに、ベランダからの出火は逆に増え273件になった。
全体に占めるベランダ火災の割合は05年の4.6%から、昨年は11.5%になっている。
東京消防庁によると直近のケースでは23日午前8時ごろ、東京都北区志茂の11階建てマンションでたばこが原因とみられる火災があった。
住民が3階のベランダで喫煙していたところ、灰皿からたばこが落ち、下にあった紙くずに燃え移った。外壁などを焼いたが、けが人はなかった。
横浜市消防局によると、同市内でのたばこが原因のベランダ火災は09年に年間5件だったが、昨年は11件と増加。今年は6月末までの上半期で8件に上っている。
一方、福岡市消防局によると福岡市では1月、吸い殻のたまったカップ麺の容器に、たばこを捨てた後に出火。6月にも植木鉢を灰皿代わりにしていたところ積もった吸い殻とともに燃えたという。
東京消防庁の過去の調査によると、たばこによるベランダ火災では8割以上が吸い殻の処理方法に問題があった。
福岡市消防局の担当者は
(1)完全に消えていないのに、ごみ袋やカップ麺など燃えやすい物の中に捨てる
(2)吸い殻のたまった灰皿の中でもみ消し、消えたと思い込んでいたがしばらくして出火
(3)火種が風で飛び、周囲の物に燃え移る--
などのケースがあるとしており、水を張ったステンレス製灰皿の使用などを呼びかける。(以下略)
^^^ここまで^^^^^^^^^^^^^^^^
共用部分での喫煙と防火管理
最近は日本人のマナーやモラルが低下したのか、言葉が通じない外国人入居者が増えたためか、投げ捨てが増えています。
下階の住民はたまったものではありません。1階の専用庭は当然のこと、風で斜め下の階のベランダに吸い殻が落ちることもあります。
干している布団や衣服に引火して被害が拡大、というリスクがあります。またベランダ床の防水シートに穴が空いて美観や防水機能が損なわれる危険もあります。そこまで行かなくても、吸い殻や灰が自宅のベランダに落っこちていたらすごく嫌ですよね。
防火管理者の外部委託を受ける身としては注意したくても、外からベランダを双眼鏡で覗き続ける訳にもいきません。
室内で吸えないのでホタル族は仕方ないにしても、近隣に迷惑をかけることは避けたいです。結局は愛煙家がベランダでタバコすることが禁止されれば、ますます居心地の悪い住まいになってしまいます。
火災予防のためにも、そしてマンション住民同士が気持よく生活するためにも、愛煙家に配慮ある喫煙を願っています。
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