名義だけの防火管理者は危険!マンション管理組合が注意すべきこと

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防火管理者が必要なマンションとは

概ね700万戸あると言われるマンションのストック総数ですが、これらほとんどのマンションに防火管理者が必要といっても過言ではありません。具体的には、事務所や住居で構成されたマンションの場合、50名以上の居住者がいると防火管理者を選任する必要があります。例えば、ファミリー向けのマンションでは、20世帯も入居していれば、基本的に防火管理者を選任しなければなりません。

さらに、商業地域に立地しているマンションでは、1階に店舗が入居していることがよくあります。もしこの店舗がコンビニエンスストアのように不特定多数のお客様が来店する場合、マンション全体の収容人員が30名以上であれば防火管理者を選任する必要があります。そのため、ワンルームマンションのように1世帯の居住人数が少なくても、店舗が入居していることで条件が厳しくなり、防火管理者が必要となることがあります。

また、高さが31m(7~10階程度)を超えるマンションであれば、統括防火管理者を選任する必要があります。統括防火管理者は防火管理者のリーダーのような存在なのですが、共同住宅は管理について権原が分かれているものとして扱われるため、都市圏に立地する投資用マンションなどでは、この条件を満たすことが多く、共用部の防火管理者に加えて統括防火管理者の選任が必要となるケースが多いです。

このような状況から、マンション管理組合(理事会)の取り組みで意外と苦労するのが「防火管理者のなり手を探す」という問題です。仕事上、数多くのマンションを訪問しますが、ロビーの掲示板に「防火管理者を募集しています」と書かれた掲示物をよく目にします。

必要とされる防火管理者が選任されていないマンションで火災が発生し、廊下に置かれた私物が原因で住人が逃げ遅れるなど、防火管理上の不手際が原因で重大な事故が起きた場合、マンション管理組合の理事長に刑事責任が問われる可能性があります。管理組合のトップである理事長は、企業で例えれば代表取締役のような立場であり、すべての責任を負う覚悟が必要です。この理事長の防火管理上の立場については、「マンションの火災事故で理事長に刑事責任が問われるのか」というコラムでも詳しく述べられていますので、ご参考ください。

防火管理者は国家資格とされており、この資格を取得するためには、原則として消防署が主催する講習に2日間連続(9時~17時)で出席し、テストに合格しなければなりません。

防火管理者が単なる名義貸しになっているマンション、危険です!

防火管理者を選任するためには、防火管理者の資格取得が必要ですが、普通免許と異なり取得者は多くありません。防火管理者は国家資格とされており、この資格を取得するためには、原則として消防署が主催する講習に2日間連続(9時~17時)で出席し、テストに合格しなければなりません。このテスト自体は、講習を真面目に受講していれば誰でも合格できるレベルなので、そこまで心配する必要はありません。しかし、問題は2日間連続の講習というスケジュールにあります。

防火管理者講習は平日に設定されていることがほとんどで、仕事を抱えている人にとって、この時間を捻出するのは簡単ではありません。さらに、講習が自宅近くの消防署で行われていないことが多く、受講会場に行くこと自体が大変です。有給休暇が余っていても、好きな時に好きなだけ取得できる環境にいる会社員はほとんどいないでしょう。できればリフレッシュのために使いたい貴重な有給休暇を、マンション住人のためとはいえ、防火管理者講習のために捧げるという覚悟を持つことは簡単ではないと思います。

一方で、会社勤めを終えたシニア世代にとって、防火管理者は比較的取得しやすい資格と言えます。また、勤務先の都合で防火管理者資格をすでに取得しているケースもあります。そのため、多くのマンション管理組合では、既に防火管理者資格を持っている居住者から選任するか、シニア世代に新たに防火管理者資格を取得してもらうかのいずれかの方法で、なんとか防火管理者のなり手を確保しようとしています。行き詰まった管理組合の中には、理事長自らが防火管理者資格を取得するマンションもあります。

また、マンションの中には、防火管理者に報酬を支払うケースも少なくありません。このこと自体には問題ありませんが、注意しなければならないのは、報酬を支払って「はい、おしまい」となっていないかという点です。防火管理上の最高責任者である理事長には、防火管理者を選任する義務だけでなく、防火管理者に必要な業務を実施させる義務があります。これは関連法令で厳しく定められているため、十分注意してください。

防火管理者が防火管理業務を実施しない場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処される可能性があります。

■関連条文■

  • 消防長又は消防署長は、防火管理業務が法令の規定又は法第8条第1項の消防計画に従って行われていないと認める場合には、管理権原者に対し、防火管理業務が法令の規定又は消防計画に従って行われるように必要な措置を講ずべきことを命ずることができる(消防法第8条第4項)。
  • 防火管理業務適正執行命令に違反した者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処される(消防法第41条第1項第2号)。

防火管理者がやるべき業務とは

防火管理者に必要とされる業務は全部で8つあるとされ、東京消防庁のホームページに以下のように記されています。

《防火管理者の責務》(消防法施行令第3条の2一部抜粋)

  • 「防火管理に係る消防計画」の作成・届出
  • 消火、通報及び避難の訓練を実施
  • 消防用設備等の点検・整備
  • 火気の使用又は取扱いに関する監督
  • 避難又は防火上必要な構造及び設備の維持管理
  • 収容人員の管理
  • その他防火管理上必要な業務
  • 必要に応じて管理権原者に指示を求め、誠実に職務を遂行する

《出典》東京消防庁 防火管理者とは
https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/lfe/office_adv/jissen/p03.html

これら防火管理者に必要とされる責務は、基本的には、以下の3点に集約されると考えられます。

  1. 消防計画の作成・届出
  2. 消防訓練の実施・必要書類の届出
  3. 日常の防火管理(活動の記録を残す)

消防計画の書き方や消防訓練の実施方法について、その具体的な手法は防火管理者講習に含まれていませんので、資格取得者だからといって誰もができるとは限りません。また、日常の防火管理については消防法に具体的な定めはありませんが、火災事故が発生した際に、日常的に防火管理業務を実施していたことを証明する必要があります。そのため、防火管理に特化した巡回点検やその記録を残した報告書の作成等が重要になります。詳しくは、「防火管理者業務を自ら実施するために必要なこと」というコラムをご参考ください。

管理会社はマンション管理のプロである一方、防火管理のプロとは限らず、防火管理者業務のサポートが難しい場合も少なくありません。
当社では、防火管理者に必要とされる業務をワンパッケージとしたサービスを提供しています。防火管理者のなり手不足、あるいは、防火管理者を選任しても実際には名義貸し同様で何も業務を行っていない場合、ぜひ当社にお任せください!

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