防火管理者外部委託の可否は、消防署によって異なります

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消防署によって防火管理者の外部委託可否判断が異なる

近畿エリアに出張中、普段あまり鳴ることのない社用のガラケーが単調なメロディを奏で始めました。それは、契約を担当する本社スタッフからの着信でした。

「共同住宅の防火管理者を外部委託する件で相談があります。○○消防署なんですが、ちょうどその辺りにいらっしゃいますよね。当社の取り組みを消防署に直接説明しに行っていただけますか?」

防火管理者の外部委託の可否は、管轄する消防署によって決定されます。隣接する自治体であっても、判断軸が異なることがありますし、場合によっては、同一の消防署内でも担当者により見解が異なることがあります。本社スタッフが電話で「防火管理者を外部委託した場合の当社の対応」について説明したところ、消防署の担当者からは、詳細を直接聞きたいとの要望があったようです。

帰りの新幹線の時間を再確認し、翌日には対応可能であることを伝えました。

この度、私が消防署との直接交渉を快く引き受けた理由は、この機会に管轄消防署から理解を得られれば、将来的に同エリアでの外部委託申し込みがスムーズに進むと期待していたからです。首都圏エリアでは、受託件数が多いことから、当社の名前を挙げただけで外部委託の承認が得られるほど信頼を築いている消防署も少なくありません。そのため、イベントや観光で活況を呈する近畿エリアでも、首都圏と同様に受託件数を増やすことを望んでいます。また、直接窓口に赴き、当社の防火管理者業務への取り組みについて説明すれば、必ず理解を得られるという強い自信が私にはありました。

この自信は、とある経験によって裏付けられています。

遡ること1年、首都圏に位置する消防署に、無人店舗の防火管理者を受託する許可を求めて電話で状況を説明したところ、「入居予定のビルには防災センターが設置されているため、そちらで防火管理者を選任してほしい」と要望されました。
確かに、防災センターのスタッフは専門家であり、常時勤務しているため、理想的な選択肢であると私も考えます。しかし、防災センターとステークホルダー間の契約条件などが絡み、実際には「入居テナントの防火管理を防災センターのスタッフが担当する」と一概には決められないのが現状です。

そこで、月に1度実施している点検の記録として作成された「巡回防火点検報告書」と、消防訓練を実施した際に作成する「消防訓練実施報告書」のサンプルを持参し、消防署の窓口を訪ねました。窓口の担当者は丁寧に話を聞いてくれ、さらに「これだけの取り組みをされているとは、素晴らしいですね」と高い評価をしてくださいました。そして、その場で上席の方に当社の意向を伝えてくださり、結果として当社の外部委託が認められることになりました。この時、社内からも評価を受けたことが、最終的に大きな自信につながったかもしれません。

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さて、その日がやってきた

セブンイレブンでプリントアウトした巡回防火点検報告書と消防訓練実施報告書のサンプルを携え、気持ちを高ぶらせながら消防署を訪れました。しかし、結果は残念ながら、防火管理者の外部委託が認められることは実現しませんでした。

首都圏での経験を踏まえ、(熱量MAXで)当社が防火管理者としての責務をどれだけ真剣に果たそうとしているかを力説しました。対面した2名の担当者は、私の話に最後まで耳を傾け一定の理解を示してくれました。しかし、「月1回の現地点検」という、当社の方針が引っかかってしまい、承認を得ることができません。

私たちはボランティア団体ではないため、月に複数回の現地点検が必要となれば、当然のように人件費等が嵩むことになり、サービス価格に反映されるのは避けられない事実です。この点を伝え、さらには、必要とされる点検の頻度について問い合わせたものの、残念ながら明確な答えは得られませんでした。
管理組合からは、共同住宅内に有資格者がおらず、高齢化が進行しているため防火管理業務を責任を持って継続できる適切な人材が見つからないこと、また、新たに資格を取得することも難しいという情報が事前に共有されていました。このことを伝えましたが、住人の中から選任すべきという判断は変わらず、気がつけばかなりの時間が経過してしまいました。
最後まで真剣に対応してくださった消防署の担当者には、心から感謝いたします。

管理組合には、消防署の意向を伝え、防火管理全面サポート(お客様自身で防火管理者を選任し、実際の防火管理者として行うべき業務、具体的には消防署への届出書面作成や日常の防火管理・消防訓練・消防署の査察対応等のサポートを当社へ委託するもの)を提案するしかありません。

窓外に広がる風景を眺めながら、消防署とその職員の方々の、この街とその歴史を火災から絶対に守ろうとする強い意志を、少しだけ感じ取ることができた。

重厚な造りの消防署の門をくぐり抜けた瞬間、秋風が頬を撫でました。その時、お客様の期待に応えられなかったことへの罪悪感と、激辛料理を完食した後に感じる「やり切った」という達成感が同時に心を訪れました。

レンタカーで駅へと向かう道すがら、紅蓮の夕日を背景に居並ぶ歴史的に価値のある建物群に目をやると、心が落ち着きを取り戻しました。それらの建物は、時の流れを生き抜いてきた証であり、この街が火災の脅威からどれほど守られてきたかを物語っているようでした。そして、窓外に広がる風景を眺めながら、消防署とその職員の方々の、この街とその歴史を火災から絶対に守ろうとする強い意志を、少しだけ感じ取ることができました。

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