消防用設備の点検・整備とは
防火管理者に求められる責務に『消防用設備の点検・整備』があります。
そもそも消防用設備とは何かといえば、『政令で定める消防の用に供する設備・消防用水及び消火活動上必要な施設』と定義されており、対象物には相当な種類が含まれます。具体的には、屋内消火栓やスプリンクラー設備等があてはまりますが、水バケツや手動用サイレンといった簡易的な物も消防用設備に含まれます。
水バケツなら誰でも点検ができそうですが、屋内消火栓やスプリンクラー設備となると簡単にはいきません。このような複雑な構造の消防用設備を点検するとなると当然のことながら専門知識が必要となり、建物の規模によって有資格者による点検が義務つけられていることから、消防設備士または消防設備点検資格者が在籍する専門業者に依頼することになります。
当社の防火管理者外部委託サービスでは、基本的に月1回、お客様から依頼された建物や施設に訪問し、防火管理に特化した点検(巡回防火点検)を実施します。
巡回防火点検は消防用設備等の定期点検(有資格者による年2回実施が義務づけられた点検制度で、消防署へ点検結果報告書の提出義務あり。以下、「消防設備点検」。)とは異なり、防火管理者の責務を果たすために当社が実施する自主的な点検です。
そのため消防法に規定された消防設備点検が必要とされる防火対象物は、専門業者へ別途依頼をお願いします。
当社の巡回防火点検で実施する『防火管理者業務の一環として実施する消防用設備の点検』では次のような点検を行っています。
1、消火器
- 外観に異常がないか(凹み、ひどいサビ等)
- 安全栓の封シール・封ロックに異常がないか(使用された可能性あり、有資格者による点検が必要)
- 指示圧力計に異常がないか(主に蓄圧式粉末消火器)
- OKマークが落ちていないか(ガス加圧式粉末消火器が対象、使用された可能性あり)
関連コラム:「消火器」の自主点検は、防火管理者の役割のひとつです
https://e-chintaiowner.com/2022/08/02/20220802/
2、屋内消火栓・連結送水管の放水口
- 外観に異常がないか
- 扉は容易に開くか
- 表示灯に異常がないか(ランプ切れ・割れ等)
関連コラム:いざという時、屋内消火栓を操作できますか?
https://e-chintaiowner.com/2022/11/10/iza/
3、防火戸
- 常時閉鎖タイプは閉鎖された状態を保っているか
- 随時閉鎖タイプはいざという時に機能する状態か(閉鎖を邪魔する私物の残置等がないか)
関連コラム:新宿・歌舞伎町ビル火災から学ぶ「防火戸の役割」
https://e-chintaiowner.com/2022/09/01/
消防用設備等点検結果報告書の共有をお願いします
防火管理者の外部委託サービスを利用される防火対象物は、基本的に消防設備点検を実施しなくてはいけませんが、この際に作成される消防用設備等点検結果報告書(以下、「点検結果報告書」)は是非とも当社に共有をお願いします。
内容確認のうえ、指摘事項を巡回防火点検に反映するようにします。
古い建物に設置された「屋内消火栓の表示灯が暗い」というケースについて考えてみましょう。
屋内消火栓の表示灯の明るさは、現状の基準では、「発信機の直近に設け、赤色のもので常時点灯し、その取付け面と15°以上の角度となる方向に沿って、10m離れた場所から点灯していることが容易に識別できるものであること」と定められています。
しかしながら、実際の消防設備点検では特殊な装置を使って照度を調べているわけではなく、ある業者に尋ねたところ「目視で表示灯が暗いと判断すれば全て指摘事項とする」という回答を得ました。点検結果報告書の仕上がりを確認する限り、判断基準が業者によって多少異なるのが現実です。
当社が実施する巡回防火点検でも「表示灯が著しく暗い」と判断した場合に指摘事項としてあげるようにしていますが、点検結果報告書の共有があれば専門業者の判断基準に合わせるようにします。
なお、点検結果報告書には「防火管理者」のサインが必要ですが、当社に原本を送付いただければ防火管理者を記名(押印)のうえ返送します。よろしくお願いします。