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防火管理者の仕事:ビルの通路やマンション廊下の置き配は「あり」か?

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代表で防火管理者の深山(みやま)です。最近、防火管理者業務の一環で建物の巡回点検を行っているスタッフから
「マンションの共用廊下やビルの通路に宅配業者の置いていった段ボール箱が増えてきているが、指導すべき?」
と相談が寄せられるようになりました。

コロナ禍以前から「受取人不在による再配達依頼の増大」「宅配業界の人手不足」「宅配ボックスの未整備」といった状況が続く一方で、日本では荷物が盗まれることが諸外国に比べて非常に少ないという文化?もあり、宅配業者が玄関先に荷物を置いて帰る、いわゆる『置き配』がスタンダードになってきました。
我が家も分譲マンション暮らしで「再配達に来ていただくのは忍びない」との思いと、我が家のマンションには全戸に玄関ポーチがついており、その中に荷物を置けることもあって、置き配を積極的に受け入れています。(気が付いたら置き配になっていた!?)

とはいえ、マンションやビルのオーナーとしては、「置き配」の良し悪しを判断する材料がいくつかあります。
上述のような「宅配業者の負担軽減を応援したい」というのは「気持ち」であって、現実的には、

■段ボール箱が廊下や通路に置かれていることによる「景観」という観点
■同じく清掃の支障になるか、という観点
そして
■避難通路としての廊下や通路を置き配が妨げないか、という観点

といった観点が考えられます。
ここでは、「廊下や通路を置き配が妨げないか」つまり「避難経路の維持に抵触していないか」という観点で話します。

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■消防法令に「置き配」の良し悪しは書かれていない
法令に書かれていないものについて、私たちはどう判断するか?
私たちは、建物オーナーやマンション管理組合、不動産管理会社から防火管理者の外部委託依頼を受ける「専門業者」という立場です。
クライアントからお金をいただいて、建物の防火管理を徹底遵守することが求められます。
必然的に「善管注意義務」のレベルは厳しめとなります。

で、こういう時に悩んだら、消防法令に基づき指導を出す行政側、つまり消防の方に知見をいただくのが一番です。
今回は、東京消防庁のほか、横浜市、川崎市、さいたま市、千葉市、大阪市、京都市の各消防局の予防係へスタッフがヒアリングさせていただきました。
(予防課の皆さま、ありがとうございました!敏腕防災士のまなみさん、お疲れ様でした!)

■置き配に関する質問とシンプル過ぎた回答
□質問:マンションやビル(防火対象物)の共用廊下(玄関ポーチのない、一直線の廊下や通路)の玄関ドア先に、宅配業者が「置き配」として荷物を置かれる場合(共用廊下をふさぐような大きなではなく、段ボール1,2個程度)で、かつ居住者(利用者)は基本的にその日(遅くても翌日)のうちに室内へ引き取られることが確実と想定できる場合(つまり一時的に共用部に置かれることが想定される場合)において、

①消防署としての見解(指導事項に当たるかどうか)を教えて欲しい
②防火管理者が業務遂行するにおいて注意すべき点があればアドバイスいただきたい

□回答まとめ
※今回は7か所の消防局へ質問をさせていただきました。その回答をそのまま掲載しようと思いましたが、かなり表現にばらつきがあり、読み手が混乱するかもしれないと考えて、私たちの中で議論した結果、シンプル過ぎる回答にたどり着きました。

結論:置き配もそれ以外の荷物も、現実的に避難経路を塞いでいるかどうかで判断する。

玉虫色みたいな結論ですが、消防の方のアドバイスから最大公約数を割り出すと、結局「原理原則に立ち戻って判断するしかない」というところへたどり着きました。

第8条2の4〔避難上必要な施設等の管理〕
学校、病院、工場、事業場、興行場、百貨店、旅館、飲食店、地下街、複合用途防火対象物その他の防火対象物で政令で定めるものの管理について権原を有する者は、当該防火対象物の廊下、階段、避難口その他の避難上必要な施設について避難の支障になる物件が放置され、又はみだりに存置されないように管理し、かつ、防火戸についてその閉鎖の支障になる物件が放置され、又はみだりに存置されないように管理しなければならない。

普通の物品であろうがゴミであろうが置き配であろうが、この条文の趣旨に立ち戻り、個々に判断するしかありません。

置き配=『一時置きであることが明確な荷物(Amazon・ヤマト便等)』と考えられ、当日または翌日には居室の利用者により室内へ引き取られることが想定されることは、共同住宅でも不特定多数が出入りするビルでも同じであるから、置き配=一時置き=軽くOK!、、、とはならない、ということです。

一時置きであっても避難の妨げになるリスクがあれば撤去させるべきですし、長く置かれているゴミであっても、避難の妨げになっていなければ、指摘に当たらない。(放火リスクはここでは論じません)

すべては「万が一災害や火災事故が発生し、ビルの利用者やマンションの居住者が『避難』することを想定して、その妨げになっていれば、恒久であろうが一時的であろうが、見つけたらイエローカードを出す」
ここに帰結するのです。

もうすぐ1,000件の防火管理者を受託する私たち。でも油断することなく、日々原点に立ち戻り勉強です。

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