ひょろっとしたペンシルタイプのワンルームマンションで
私がまだ防火管理事業に配置されたばかりの頃の話です。
都内の賃貸管理会社から、渋谷区内のBマンションについて、当社に防火管理者と統括防火管理者の外部委託の相談がありました。
Bマンションは「10階建・32m」「27戸・全戸ワンルーム」で、縦に長細い、いわゆるペンシル型のマンションです。
このマンションのオーナーから賃貸管理会社へ防火管理者を選任するように依頼があったのですが、自社ではとてもできないとのことで、当社を推薦して頂けるとのことでした。
ありがたいお話です。
さっそく、防火管理者と統括防火管理者それぞれの選任届と消防計画、外部委託を証明する書面を用意して渋谷消防署に届出に行ったところ、渋谷署の担当者から「建物の階数と高さ」「部屋数と収容人数」を聞かれました。
Bマンションは「10階建・32m」「27戸・全戸ワンルーム」であることを回答すると、
「統括防火管理者は必要だが、防火管理者は不要です」
とのこと。ん?どういうことだろう??
マンションで防火管理者が必要な収容人数は50人以上
Bマンションは、総戸数27戸で全部がワンルームです。
ワンルーム=一部屋あたり1名が住む前提で作られているので、収容人数も27名とカウントするのですね。
Bマンションは消防法上「共同住宅」というカテゴリーに属し、収容人数が50名未満の建物には防火管理者が不要だったのでした。
「防火管理者と統括防火管理者」のセットでの外部委託依頼だったため、当然二つの資格者を選任しなければならないのだと思いこんでいたのでした。
思い込みは危険です。
建物の高さ31m超えで、統括防火管理者が必要
一方で、Bマンションの高さは32mでした。消防法では、建物の高さが31mを超えると「高層建築物」という扱いになり、戸数や収容人数にかかわらず統括防火管理者が必要です。
日本の共同住宅は、ざっくりと「ワンフロア当たり3m」と計算すれば、それ以下ということはほとんどありません。部屋の床下には給水や排水などの配管を通すスペースがあり、その上にフローリングやジュータン。天井高が2.3~2.5m、天井のボードの上には配線を這わせる高さがあり、その上にコンクリートスラブ、、、ここまで足すと、階あアリの高さは3mくらい必要になります。
ですので、マンションが11階建てなら、11階✕3m=33mとなり、確実に統括防火管理者が必要となります。10階建てでも1階部分は基礎部分で高さが増されたりで、プラス1m以上あり、31mを超える物件は多いです。
Bマンションでは最終的に統括防火管理者の選任だけを行って、無事に手続き終了です。
なぜ31m超で統括防火管理者が必要なの?
東京消防庁さんのホームページは情報の宝庫です。統括防火管理者の制度趣旨が書いてあります。
//www.tfd.metro.tokyo.jp/lfe/office_adv/jissen/h27_4.pdf
参考になればと思います。
最近、東京の街を歩いていて、多くのマンションやビルを見ると、つい階数を数えてしまいます。「あ、11階だ、統括防火管理者、ちゃんと選任されているかな」と余計なおせっかいを考えるのは私だけでしょうかね?
(こづっき)