大手の会社も一発で信用を失う「消防法の不遵守」
代表で防火管理者の深山(みやま)です。12月16日の夜に札幌で起こったビルの爆発事故。
札幌市の消防局は、爆発が起きたビルだけでなく、個々のテナント(今回爆発を起こした不動産業者や飲食店)にも、防火管理者が選任されておらず、消防計画も作成・届出されておらず、設備にも不備があり、再三にわたり指導を受けてきたことなど、消防法令を遵守していなかったことを発表しました。
(朝日新聞WEBさんより)
今回の爆発を引き起こした不動産仲介業者について、ガスボンベを大量に、、、とか、スプレーを売るノルマが、、、と言ったことは私の本業ではないので置いておいて、ビルやマンションなど多くの不動産を取り扱うスペシャリストである不動産業者であっても、消防法に対する理解が及んでいない(防火管理者の未選任や消防計画の未提出など)ことを再認識しました。
防火管理者の選任や消防計画の作成・消防署への届出は、法令上「最低限のルール」です。
最低限のルールを遵守した上で、消防訓練を実施したり、設備の適切な維持管理を行うことが消防法では求められます。
そして、消防法は、建物の用途や規模によっては建物オーナーだけでなく、テナント(建物の中の部屋の賃借人)にも適用されます。
今回は、テナントが不動産業者だったことで一層目立ってしまいました。
大手の会社が、本業でない間接部門の「法令不遵守」によって社会からの信用を大きく失うことは、ものすごくもったいないことだと思います。
死者がでなかったことが「不幸中の幸い」
隣の居酒屋や付近を通りがかっていた人、近隣の建物居住者などに、死者がでなかったことは、この事故において不幸中の幸いでした。
そして「不幸中の幸い」は、爆発を起こした不動産業者の責任者やビルのオーナーにとっても言えるでしょう。
消防法「違反」の状態で死亡事故を起こせば、高い確率で実刑判決が下されます。
また、消防署の見解として、「指導に従わない=違反」ではなく「指導に対して改善する意思を示していた=不備」という解釈であることからも、建物オーナーやテナントである不動産業者が今後の対応を誠実に行うことで、刑事処分は免れるのではないか、と推察されます。
今回の事故を受けて不動産業者が怪我人のケアや近隣への賠償等を誠実に行うことができれば、社会的な信用を取り戻すことに繋がります。
そして今後は建物のオーナー・テナントの不動産会社ともに、今いちど法令遵守の徹底を願うばかりです。