小規模で店舗が入る共同住宅は防火管理者が必要?
防火管理者のお仕事をしていると、実に様々な建物のオーナーや管理会社・不動産会社から外部委託のお問い合わせを頂きますが、稀に
この建物って、防火管理者の選任が必要?
という、そもそも防火管理者が「必要ないかもしれない」ような建物があります。
今回お問い合わせがあった建物は、建物一棟を丸ごと購入し、専有部分をリノベーション、共用部分を大規模改修して再販売する(または賃貸に出す)事業を営んでいる不動産会社から。
で、この建物。東京都区部のJR駅からほど近く、1階にコインランドリーを設置して、2階以上がワンルーム35戸。
①共同住宅(マンション)の場合、居住者人数が50名以上と見なされれば、防火管理者の選任が必要。
→ワンルームマンションは一部屋1名居住とカウントするので、これだけだと防火管理者は不要。
②建物に1つでも事務所・店舗が入っている共同住宅(マンション)の場合、複合建物として防火管理者が必要なケースがある。
③事務所・店舗が入っている共同住宅(マンション)の場合、居住者の人数のほかに、事務所・店舗の想定収容人数(従業員と客の合計)もカウントして、防火管理者が必要かどうかを計算する。
と、これらのややこしい規定がありつつ、さらに、
④そもそも1階の事務所・店舗の床面積が、建物全体の床面積の10分の1以下なら、消防法上「共同住宅とみなし」上記の①の基準で防火管理者が必要かが判断される。
というルールがあったりします。
(ものすごくザックリと書いています。)
消防法上の「みなし従属規定」って?
この、「事務所・店舗の床面積が、建物全体の床面積の10分の1以下なら共同住宅とみなす」規定を、
消防法上の「みなし従属規定」
といいます。
事務所・店舗と共同住宅との複合用途の建物は、原則として小規模であっても防火管理者(統括防火管理者)を設置して、一体となって防火管理を実践することが、消防法で求められています。
しかし、建物の中で事務所・店舗の割合が低い場合は「ほぼ共同住宅」の扱いとして、少し緩い規定が適用されます。(ここが「みなし」従属規定なんですね。)
防火管理者の選任が必要な建物かどうか無料で調べます
当社へのお問い合わせのほとんどが「管轄の消防署から立入調査(査察)が入り、防火管理者の選任指導が入り、困っている」ことが引き金となっているため、「防火管理者の必要ありき」での相談なのですが、稀に今回のような「防火管理者の選任の必要性の有無」から確認が必要なお問い合わせがあります。
防火管理に関するお悩みは気軽にご相談下さい。大抵のことは消防署の方にヒアリングして、回答ができると思います。
管轄の消防署の方にはいつも時間を頂いて、ありがたく詳しくヒアリングさせていただいています。