(アスクル倉庫)火災事故と防火管理

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燃える物が多い「物流倉庫の火災事故」

当社でも社内用事務用品の調達で大変お世話に成っている、事務用品通販大手アスクルの物流センター「ロジパーク首都圏」の火災事故は、火災発生から6日たってようやく鎮火されたようです。

もともと商品の仕分けを自動化していた最先端の装備であったため、中で働く人は倉庫の規模(延床面積72,000㎡、東京ドーム1.5個分)に比べて少なかったそうです。(それでも400名以上)

まずは死者がでなかった(2月22日現在)ことが不幸中の幸いです。

倉庫における消防上の課題・防火管理上の注意事項

当社では現在、倉庫の防火管理者業務をお引き受けしています。東京の多摩地区に加え、近く埼玉県西部でもお引き受け予定です。
今回のアスクルのような大規模ではありまんが、それでも普段倉庫に入ったことがない人からすれば「大きい!」とビックリする広さです。

※ブログ記事「物流倉庫の消防訓練・避難訓練」はこちら

「消防」上の課題は次の通りです。アスクル倉庫の火災事故でもメディアが取り上げています。

  • 倉庫に保管する物品に可燃物が多いと引火スピードが早い
  • 上階の窓が少なく(倉庫ですから機能上窓による採光は不要)外から消火しづらい
  • スプリンクラーで放水されても、物品が高く積まれると火元まで水が届きにくい

特にアスクルは事務用品を取り扱います。コピー用紙などの紙類・ビニール/石油製品・引火性の強いスプレー・そしてこれらを梱包するダンボール、、、そして消火活動や設備の効能が十分に発揮されない、といった原因が積み重なり、倉庫内では物品に火が次々と燃え移り、満足な消火活動ができないまま、今回の大きな事故につながってしまったものと思われます。

次に、倉庫での「防火管理」上の注意事項です。アスクルのことではなく、一般的な課題としてです。

  • 物品を所定の格納場所以外(特に床上)に置いておかない。特に消火器の前(見えない)・消火栓ボックスの前(扉が開かない)防火シャッターの下(降りない)
  • 物品を高く積みすぎない(今回のスプリンクラー設備からの放水を阻害するリスク
  • 避難通路を物品で塞がない(倉庫の物品は重いので移動させるのも力がいる。一時的な仮置きの場合は、当日中に本来の位置へ移動させる)
  • 消火器(赤)や誘導灯(緑)は目立つように(ビルやマンションと違い美観は関係ない)
  • 消防訓練・避難訓練の定期実施の徹底(特に倉庫で働くのはアルバイトや派遣社員が多く入れ替わりもあると思われるため)
  • (特に古い倉庫)2階以上で倉庫の外の火災時待機スペース(行き止まり。はしご車が助けてくれる有効な避難スペース)のへ出る扉のメンテを行う(普段ほとんど開けない扉なので、固くなりがち)

このように、倉庫の防火管理は、マンションやビルと少し違った視点での注意が必要です。

火災事故で怖いのは「火」より「煙」

火災が起こって、消防署へすぐに連絡しつつ消火活動を行って「それでもとても消せそうにない」と判断したら、即避難です。

皆さんは火に目が行きがちですが、火の勢いよりもっと怖いのは「煙」です。
新宿・歌舞伎町の雑居ビルで44名が亡くなった事故では、多くの被害者が焼死体ではなく、キレイな状態のまま、煙を吸い込んで倒れてしまったのです。

繰り返します。火災は「目に見える派手な炎」より「じわじわやってくる煙」です。

アスクルを応援しよう

防火管理者の業務を行う者の立場から言えば、アスクルは消防法上の義務を遵守し、消防設備の点検や防火管理上の義務は果たしていたのではないかと思われます。
消防設備や避難器具のメンテナンス、消防・避難・通報訓練の実施など、細心の注意を払って行っていたものと思います。企業としての務めは果たしたから、これだけの被害で済んだのかもしれません。

今回のアスクルの火災事故で、金銭的被害は保険を掛けているのでしょうが、業務上の支障が我々ユーザーの利便性低下につながります。日頃お世話になっているので是非とも速やかに立ち直っていただきたい、そう思います。(当社としても(不買運動の逆で)沢山買って支えるぞ!)

※倉庫の防火管理者・統括防火管理者はおまかせください。外部委託サービスはこちら

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