マンション専有部火災から命を守る正しい避難行動ガイド

命を守るための正しい避難
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マンション専有部火災で安全に避難するための行動手順

マンションの専有部(住戸部分)で発生した火災は、わずか数分で部屋全体へ燃え広がり、家具や内装材を次々に焼き尽くします。そして、その炎以上に恐ろしいのが煙です。煙は高温で有毒なガスを含み、視界を奪い、わずかな吸引でも意識を失わせる危険があります。実際、火災による死亡原因の多くは、炎ではなく煙の吸引による窒息や一酸化炭素中毒です。

こうした非常時では、数秒の判断の遅れが命運を分けます。消火すべきか、逃げるべきか、その場合どの経路を使うのか――自分と家族の命を守るためには、あらかじめ正しい知識と行動の手順を身につけ、冷静に判断できるよう備えておくことが欠かせません。

本コラムでは、マンションの専有部から火災が発生し、初期消火が不可能と判断した場合に取るべき「正しい避難行動」を、実際の現場を想定しながら順を追って解説します。日頃からこの流れをイメージしておくことで、もしもの時にも迷わず動くことができ、あなたや大切な人の命を守れる可能性が高まります。

なお、初期消火が可能な場合の対応については、前回のコラム「マンション火災で命を守る初期消火の4つの行動ポイント」に詳しくまとめていますので、あわせてご覧ください。

玄関から避難する

場面は、専有部から炎が立ち上り、初期消火を断念せざるを得ない状況です。まず取るべき行動は、家族や、可能であれば隣室の住民にも火災発生を知らせるため、「火事だ!」 と大声で危険を告げることです。

専有部からの避難は、玄関からの脱出が基本です。もし玄関からの避難が困難な場合は、ベランダに設けられた蹴破り戸や避難はしごを利用しますが、これらはあくまで最終手段として考えるべきです。

取り残された人がいないか確認して玄関を閉める

避難前には、室内に家族が残っていないかを確認します。特にトイレや浴室は閉ざされた空間で声が届きにくく、逃げ遅れの多い場所です。

そして、避難の際は、必ず玄関ドアを閉めてから 出ましょう。これは単に防犯のためではなく、炎や煙の広がりを防ぐ防火措置です。開け放したまま逃げると、廊下や他の住戸に煙と炎が一気に広がり、被害が拡大する危険性が高まります。

周囲への通報と火災報知設備の使用

避難行動と同時に、周囲へ火災発生を知らせることも極めて重要です。「火事だ!逃げろ!」 と大声で叫び、近くの人に危険を伝えましょう。さらに、共用部に火災報知設備がある場合は、発信機のボタンを押して警報を作動させます。これにより建物全体に非常ベルが鳴り響き、他の住民の迅速な避難を促すことができます。

煙から身を守るため低い姿勢で避難

すでに廊下まで煙が広がっている状況であれば、事態は極めて深刻です。有毒な物質を含む煙は、想像以上の速さで拡散します。水平方向には早歩き程度の速さでじわじわと進み、縦方向には自転車で走るほどの速さで一気に広がってしまいます。

さらに、煙は空気よりも軽く、天井付近に溜まりやすい性質があります。そのため、避難時はできるだけ低い姿勢を保ち、進行方向を確認しながら移動することで、有害ガスの吸引を最小限に抑えることができます。

エレベーターは使わない

避難時にエレベーターを使うのは極めて危険です。火災時には配電系統の損傷や停電によってエレベーターが停止し閉じ込められる恐れがあるほか、縦に長い構造のシャフト内を煙が上昇してかご内に充満しやすくなる「煙突効果」も発生します。必ず階段を利用し、落ち着いて避難しましょう。

また、誘導灯が設置されている建物では、避難経路をたどる際にその光を目印にしてください。誘導灯は火災や停電で建物内が暗くなった場合でもバッテリーで点灯し、非常口や階段の位置を示してくれます。特に煙が充満して視界が悪くなった際には、足元や壁面に設置された誘導灯の光をたどることで、安全に出口までたどり着くことができます。日常的にその位置と避難ルートを確認しておくことが、非常時の迅速かつ安全な避難につながります。

安全な場所に避難してから消防に通報

119番通報は、必ず屋外や近隣の安全な場所に避難してから行いましょう。建物内で通報すると、煙や炎によって命の危険にさらされる恐れがあります。また、通報時にパニックになったり、必死に状況を伝えようとし過ぎると、かえって消防の初動対応が遅れる場合があります。落ち着いて消防の質問に答える姿勢でいれば、必要な情報は向こうから聞いてくれるので大丈夫です。

日常的に避難経路を塞がない

ここからは、安全な避難のために日常的に心がけるべき行動についてです。火災時にスムーズな避難を行うには、避難経路となる廊下や共用階段に私物を置かないことが重要です。実際、廊下に自転車を置いているマンションも見られますが、自転車が倒れると高齢者や身体の不自由な方の進路を塞ぎ、避難が遅れて命に関わる危険があります。

また、共用部に防火戸が設置されている場合は、ストッパーで固定したり、物を挟んで閉まらない状態にしないことも大切です。防火戸は、火や煙が他の階やフロアへ広がるのを防ぐ重要な設備です。日常的に開け放しておくと、その機能が発揮できず、住民の命を危険にさらすことになりかねません。

煙は空気よりも軽く、天井付近に溜まりやすい性質があります。そのため、避難時はできるだけ低い姿勢を保ち、進行方向を確認しながら移動することで、有害ガスの吸引を最小限に抑えることができます。

【まとめ】命を守るための避難行動と防火管理

マンション専有部での火災は、一瞬の判断が生死を分けます。

大声で周囲に知らせること、初期消火が無理なら即避難すること、煙から身を守るため低い姿勢を保つこと、エレベーターを使わないこと、安全な場所から通報すること——これらはすべて、命を守るための基本行動です。

また、日常的に避難経路を確保し、防火戸を正常に維持することは、防火管理者に求められる重要な業務でもあります。当社の【防火管理者外部委託サービス】では、毎月の防火点検で危険な状況が確認されれば、即座に改善に向けた対応を行います。防火管理者の職務をプロに任せたいとお考えの方は、ぜひお気軽にご相談ください。

火災は「いつか起こるかもしれない」ではなく、「今日、自分の家で起こるかもしれない」災害です。日頃から避難経路や防災設備を確認し、万一のときに落ち着いて行動できるよう備えておきましょう。

東京消防庁の公式Youtubeチャンネルでは、避難委必要な知識や火災の恐ろしさを視覚的に学ぶことができますので、ぜひ一度ご確認ください。

《参考》東京消防庁公式チャンネル
https://www.youtube.com/@tokyo_fire_dept

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