分譲マンションで進む「防火管理者の外部委託」という選択肢

防火管理者 こづっき 実践リアルガチ
無料ロゴ
関連資料を無料でダウンロードいただけます

理事長が責任を問われる?防火管理業務を管理組合でどう対応すべきか

防火管理者のこづっきです。

埼玉県草加市にある、分譲マンションの理事長より、「防火管理者の外部委託サービスについて理事会で説明してほしい」とのご依頼をいただき、出席させていただきました。これまでは住民の方が防火管理者を務めていましたが、転居により継続が難しくなり、新たな候補を探したものの、なり手が見つからずお困りとのことでした。

理事会はマンション1階の集会スペースで開かれ、約束の時間に到着すると8名ほどの理事の皆さまが着席されていました。私は資料を用い、防火管理上の最高責任者である「管理権原者(理事長)」の責務や、防火管理者が担うべき業務について説明しました。また、2001年に発生した歌舞伎町ビル火災を例に、防火管理が不十分な状態で火災が発生した場合、理事長が刑事責任を問われる可能性があることにも触れました。
その上で、当社の外部委託サービスをご利用いただければ、防火管理者に求められる一連の業務をすべて当社が対応するため、理事会は本来の目的である「マンションの資産価値向上」に専念できることを説明しました。

説明の途中、ある理事の方から「もう一度、自分たちで対応できないか検討すべきではないか」とのご意見がありました。こうした声は、他のマンションでもよく聞かれるものです。大変前向きで素晴らしいご提案だと思いますし、当社としても、消防署と同様に、本来であれば、その建物をよく知る住民の方の中から防火管理者を選任することが最も望ましいと考えています。

防火管理者講習は、防火管理者に必要な基礎知識を体系的に学べる、大変有意義な内容となっています。ただし、実際に消防計画を作成する手順や、ロールプレイによる訓練、事前告知の方法といった、消防訓練を具体的に実施するためのノウハウまでは、詳しく取り扱われていないのが実情です。

そこで当社では、年契約であっても途中解約が可能であり、未実施期間分については返金にも対応していることをご案内した上で、まずは一定期間サービスをご利用いただき、実務を通じて必要なノウハウを蓄積したうえで、自前で防火管理者を選任し直すという選択肢もあることをお伝えしています。

防火管理者の業務は法令により定められており、主な内容としては、消防計画の作成、消防訓練の実施、そして日常的な点検業務などが挙げられます。これらは、特殊な機材や高度な専門技術を必要とするものではなく、基本的なポイントを理解し、定期的に確認・対応することで、十分にその責務を果たすことができます。

たとえば、日常の点検業務では、「避難経路が確保されているか」「火災の原因となるものが放置されていないか」「消防設備が適切に設置・維持されているか」といった観点から、建物内外の状況を確認することが重要です。異常が見つかった場合には、放置せず、速やかに改善へ向けた対応をとることが求められます。
具体的には、「廊下や階段といった避難経路に私物が置かれていないか」「灯油缶など火災の原因となりうる物品が共用部に放置されていないか」「消火器などの消防設備に破損等の不備がないか」といった点を、目視による確認でチェックするのが基本です。

しかしながら、分譲マンションにおいては、住民が防火管理者に選任されたものの、その責任の重さを十分に理解しないまま、実際には必要な対応をほとんど行わず、「名ばかりの管理者」となってしまっているケースが少なくありません。

私が特に注目しているのは、防火管理の最高責任者である理事長の多くが、「やりたい」と手を挙げたわけではなく、輪番制で理事となる中、責任感の強さから“仕方なく”理事長を引き受けているという現状です。理事長には幅広い業務と大きな責任が伴いますが、設備更新や修繕といった資産価値向上の取り組みには関心が集まりやすい一方で、火災という目に見えにくいリスクである防火管理については、どうしても後回しにされがちです。

しかし、どれだけ日常的に防火管理に気を配っていても、放火などによる予期せぬ火災リスクは常に存在しています。そして、防火管理の実施責任を負う理事長には、防火管理者を適切に選任し、その者に必要な業務を遂行させる義務があります。このような義務を怠った結果、重大な火災事故が発生した場合には、理事長自身が刑事責任を問われる可能性があるという事実を、決して忘れてはなりません。

埼玉県草加市にある、分譲マンションの理事長より、「防火管理者の外部委託サービスについて理事会で説明してほしい」とのご依頼をいただき、出席させていただきました。

分譲マンションの防火管理、名義貸しでは済まされない時代に突入

当社が提供する「防火管理者の外部委託サービス」は、主に賃貸マンションや貸しビルを所有する建物オーナー、またはそのオーナーから管理業務を委託されている管理会社からのご依頼が中心です。こうしたケースでは、オーナーの高齢化や複数物件の所有により、物理的・人的な制約から各物件ごとに防火管理者を個別に選任することが難しく、また管理会社としても防火管理業務を自社業務に含める判断に至らないことが多いため、外部委託を選択されるケースが増えてきています。

また、不動産開発業者が保有するテナントビルや商業ビルに関しても、従来より一定のご依頼をいただいておりましたが、近年はさらにご相談の件数が増加傾向にあります。これらも同様に、防火管理業務を社員に担わせるのが現実的でない、あるいは社内に必要な資格を持つ人材がいないといった事情から、当社への委託をご検討いただくケースが多く見受けられます。

このような背景から、法人において防火管理業務を外部に委託することは、リスクマネジメントの一環として広まりつつあります。火災発生時の社会的責任や財産的損害リスクを考慮すれば、専門業者への委託は単なるコスト削減にとどまらず、合理的かつ現実的な選択肢として捉えられています。

さらに最近では、分譲マンションの「管理組合」からの直接的なご相談やご依頼も増えてきました。

その背景には、消防署による査察(立入検査)の対象が、従来のような商業施設や飲食店など不特定多数の人が出入りする施設に限られず、共同住宅である分譲マンションにも広がっている現状があると考えられます。そのため、「防火管理者が未選任である」、あるいは「形式上は選任しているものの、実際には何も実施していない」といった名義貸しに近い状態についても、消防署が見過ごさなくなってきている印象を受けます。

実際に、草加市のあるマンションでも、防火管理に対する住民の意識が確実に高まっていることを感じました。一方で、消防署からの改善指導や、管理会社を通じた是正勧告が入る中で、「誰かがやらなければならない」という認識はあるものの、防火管理者をボランティア的に引き受ける合理的な理由を見出せないというのが、多くの住民の本音です。

防火管理者講習を受けたうえで、継続的に防火点検や消防訓練を行うという責務を一個人に任せるのは、負担が大きく、またそれが報われる仕組みも存在しないことから、敬遠されるのも無理のない状況だといえるでしょう。
しかしながら、管理組合にとっても、防火管理の適正な実施は、マンションの安全性と資産価値を守るうえで欠かせない重要な取り組みです。そうした中で、専門性を持つ外部業者に防火管理業務を委託し、理事会は本来の役割である建物の管理・運営に専念するという選択肢が、今後ますます現実的で有効な対応策として注目されていくものと考えています。

シェア:
Facebook
Twitter
LinkedIn

こちらの記事もおすすめ

お問い合わせ

当社の防火管理者外部委託サービスにご興味がありましたら、
まずはお気軽にご相談ください

無料相談&お問い合わせ
お電話でのお問い合わせ
携帯からは
03-6416-5197
月〜金(土日祝定休)10時〜17時
防火管理者外部委託サービス
紹介資料
サービス毎の具体的な費用を
知りたい方はこちら
サービス毎の具体的な費用を
知りたい方はこちら
さらに詳しく知りたい方へ

防火管理者外部委託サービスの導入に関して
気になるポイントを詳しく解説します