防火管理の実効性を高めるために~抜き打ち点検の重要性とは?
防火管理者としての責務を果たすことは、建物利用者の安全を守るうえで欠かせない重要な取り組みです。
当社の「防火管理者外部委託サービス」では、防火管理業務の一環として、事前予告なしでの巡回防火点検(以下、「抜き打ち点検」)を原則として実施しています。
「点検日時を事前に把握したい」というご要望をいただくこともありますが、防火点検は単なる業務の一部ではなく、実際の火災リスクに備え、建物の防火体制を適切に維持するための重要な対策です。そのため、当社では抜き打ち点検を基本方針とし、安定した点検体制を維持しながら、より実効性の高い防火管理を実現することを目指しています。
今回は、抜き打ち点検の意義とその必要性について、詳しく説明いたします。
なぜ抜き打ち点検が必要なのか?—2つの理由
当社が抜き打ち点検を実施する理由は、大きく分けて以下の2つです。
① 消防署の指導に基づく、実効性の高い防火管理
近年、火災事故の発生件数は増加傾向にあり、特に建物の共用部分における適切な防火対策の重要性が一層高まっています。こうした状況を踏まえ、消防署から「予告なしの防火点検を実施することで、実際の防火状況をより正確に把握できる」との指導や助言を受けており、当社もこの方針に基づき、抜き打ち点検を原則としています。
防火点検の目的は、単なる形式的なチェックではなく、日常的に適切な防火管理が維持されているかを確認することにあります。事前に点検日時を通知すると、一時的な対策により本来の防火管理の実態を正確に把握しにくくなる可能性があるため、抜き打ち点検の実施が求められます。
当社が防火管理を受託している物件では、建物利用者や管理権原者の皆さまのご協力のおかげで、これまで共用部分における火災事故は1件も発生しておりません。これは、継続的な抜き打ち点検を実施し、防火管理を適切に維持していることの証でもあると考えております。
② 安定した点検体制の維持とコスト管理
巡回防火点検は、日時を固定せずに実施することで、点検スタッフの確保を柔軟に行い、安定したサービスの提供が可能になります。仮にすべての点検で事前連絡を義務付けると、本業や育児の合間を活用して働きたい求職者のニーズに対応できなくなり、深刻化する人手不足の影響も相まって、点検スタッフの確保が一層困難になってしまいます。
また、事前連絡を徹底するためには、点検のスケジュール調整や事前確認作業が発生し、煩雑な手続きが必要となるため、結果的に点検コストの上昇につながることが懸念されます。その影響で、点検費用が上がり、お客様にも負担が増えてしまう可能性が考えられます。
現在、当社の巡回防火点検には、「最適な点検体制を維持することで、コストを抑えた料金プランを提供できている」という一面があります。このような安定した点検体制を維持するためにも、抜き打ち点検の必要性をご理解いただき、ご協力をお願いいたします。

抜き打ちでも安心!その理由と事前連絡が必要なケース
当社の巡回防火点検では、抜き打ち点検であっても、建物利用者に不審者と誤認されることのないよう、また、ご迷惑をおかけしないよう、以下の点に十分配慮しています。
- 点検担当者の識別
点検担当者は、首から身分証(IDカード)を下げ、「巡回防火点検」と明記された目立つ腕章を着用し、明確に身分を示したうえで巡回します。 - 点検内容
点検は主に目視確認を行うものであり、消防設備の作動試験は実施しません。そのため、火災報知機のベルが鳴ることはありません。 - 立ち入り範囲
共同住宅の専有部分や、当社と契約のないテナント内部には、一切立ち入ることはありません。
なお、特定のケースでは事前連絡を伴う点検を実施することもあります。例えば、自動化ゲートの通過が必要な大規模ビルなど、点検に特別な手続きが求められる場合は、事前調整を行ったうえで対応しております。
一方で、通常の物件において事前連絡をご希望の場合、対応できる点検スタッフが限られるため、ご希望に沿えない可能性があります。また、対応可能な場合でも、年間で1万~2万円程度の追加費用が発生する場合がありますので、あらかじめご了承ください。
防火管理の本質は、「日常的な安全管理」
防火管理は、「点検や消防査察(立入検査)があるから対策をする」ものではなく、日常的に適切な状態を維持し続けることが本質です。
火災はいつ、どこで発生するかわかりません。
抜き打ち点検を実施することで、本当に安全な状態が維持されているかを検証し、建物利用者の安全を確保することが可能になります。また、点検結果に基づき、適切な改善策を講じることで、より強固な防火管理体制を構築することができます。
当社では、今後も建物利用者の安全を最優先に考え、管理会社や消防署と連携しながら、より質の高い防火管理を目指してまいります。防火点検の実施方法についてご不明な点やご相談がありましたら、お気軽にお問い合わせください。
