統括防火管理者が必要な理由と建物オーナーが知るべきこと

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統括防火管理制度とは?建物全体の安全を守る仕組み

建物のオーナーが消防署から「統括防火管理者の選任が必要」と言われることがありますが、「そもそも統括防火管理者とは何か?」と疑問を持たれる方も少なくありません。そこで、統括防火管理者の役割について、できるだけわかりやすく説明します。

統括防火管理者とは、その名の通り、防火管理者を統括するリーダーのような立場の者を指します。一つの建物内に複数のテナントや事業者が存在する場合、全体の防火対策を調整し、管理する推進者が統括防火管理者の役割です。例えば、大型商業施設やオフィスビルなどでは、各テナントが個別に防火対策を行うだけでは不十分であり、建物全体としての安全を確保する必要があります。そこで、統括防火管理者が中心となり、全体を取りまとめる重要な役割を担っています。

統括防火管理者には、「全体についての消防計画」を作成し、それを消防署に届け出る義務があります。この消防計画に基づき、適切な行動を取ることが求められます。たとえば、共用部の避難経路を確認したり、消防設備が正しく配置され機能しているかを定期的にチェックする必要があります。また、本消防計画に基づく消防訓練を年2回以上実施することも義務付けられています。

建物内に複数のテナントが入居している場合、それぞれの防火管理者が異なる方針や体制で対応していることがあります。そのため、統括防火管理者はこれらを調整し、建物全体で一貫性のある効果的な防火対策を実現する役割を担います。また、必要に応じて各防火管理者に指示を出すことができます。

このように、統括防火管理者を選任することで、建物全体の防火上の安全を向上させる制度を「統括防火管理制度」と呼びます。この制度は、建物全体の一体的な防火管理を実現するために、建物に関わるすべての管理権原者が協議して統括防火管理者を選任し、全体の消防計画を策定することを定めています。この計画に基づき、建物全体の訓練や防火管理業務を行う仕組みです。

特に「建物のすべての管理権原者が協議して」という点が重要です。東京消防庁のホームページでも赤字で強調されているように、統括防火管理者の選任には、建物に入居するすべての管理権原者(建物のオーナーや各テナントの責任者など)の同意が必要です。そのため、自治体によっては、消防計画とは別に、すべてのテナントから同意書を取得することを求められる場合もあります。

このような調整業務は非常に煩雑で、テナントごとに同意書のサインや押印をいただく作業が必要となるため、建物のオーナーにとって大きな負担となることがあります。当社の防火管理者外部委託サービスをご利用の場合、有料とはなりますが、同意書取得のための調整業務を代行することが可能です。

《出典》東京消防庁「統括防火・防災管理制度について」
https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/lfe/office_adv/jissen/p09.html

防火管理者が1人なのに統括防火管理者が求められる理由

統括防火管理者が必要な建物とは?防火管理者が1人なのに統括防火管理者が求められる理由

統括防火管理者が必要な建物は、地下街を除き、主に次の4種類に該当し、管理について権原が分かれているものです。

  • 避難困難施設が入っている防火対象物で、地階を除く階数が3以上、かつ収容人員が10人以上のもの
  • 特定用途の防火対象物で、地階を除く階数が3以上、かつ収容人員が30人以上のもの
  • 非特定用途の複合用途の防火対象物で、地階を除く階数が5以上、かつ収容人員が50人以上のもの
  • 高層建築物(高さ31mを超える建築物)

これらの定義に基づき、それぞれについて詳しく説明します。

1.避難困難者が入っている建物(3階・10人以上)
この分類には、老人短期入所施設、乳児院、障害児入所施設などが該当します。これらの施設は火災が発生した際に避難が難しい方が多く利用しているため、統括防火管理者の選任が特に厳しく求められます。こうした建物では、避難計画の徹底や定期的な訓練がより重要になります。

2.特定用途の建物(3階・30人以上)
特定用途とは、不特定多数の人が出入りする建物を指します。具体的には、コンビニエンスストアや飲食店、医療施設などが入居する建物です。これらの建物では、訪問者が避難経路や消防設備を熟知していないため、火災時に混乱が生じる可能性が高く、厳しい防火管理体制が必要とされています。

3.非特定用途の建物(5階・50人以上)
非特定用途の建物とは、主に建物を日常的に利用する人が多い建物を指します。たとえば、オフィスビルやテナントが入居していない共同住宅が該当します。特定用途に比べると条件は緩やかですが、階数が高く利用者が多い建物では、火災時のリスクが増すため、統括防火管理者の選任が求められます。

4.高層建築物(高さ31mを超える建築物)
特に東京消防庁管内では、収容人数が少ないペンシル型のワンルームマンションであっても、高さが31m(おおよそ10階建て)を超える場合は、原則として統括防火管理者の選任が必要になります。この場合、各専有部分には居住者しかいないため、防火管理者は選任されず、建物共用部の防火管理者が統括防火管理者を兼任するケースが一般的です。ちなみに、この運用を聞くと、昔ヤクルトの古田敦也監督が選手兼任監督時代に「代打、俺」と言った?とされる逸話を思い出します。共用部の防火管理者を務める一方で、建物全体を管理するリーダー的存在として、自らその責務を担う姿が重なるようです。

この運用が求められる理由は、共同住宅では管理権原が複数の者に分かれているとみなされるためです。そのため、統括防火管理者はこれらを調整する重要な役割を担っています。

統括防火管理者が必要な建物の条件を正確に理解することは、建物全体の防火管理体制を適切に整備し、利用者が安心して過ごせる環境を実現するために非常に重要です。この体制整備こそが、火災時の被害を最小限に抑える鍵となります。そのため、選任された統括防火管理者がその役割を十分に果たしているか、すべての管理権原者は適切に監督し、必要に応じて指示を与える責任があります。

※各都道府県や市区町村の火災予防条例により上記の内容に付加条件が定められている場合があります。詳細は管轄の消防署への確認が必要です。

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