代表で防火管理者の深山(みやま)です。すでに当社が「統括防火管理者委託サービス」をお引き受けしている台東区のビルで、新たに「防火対象物定期点検サービス」を受託することになり、本点検に2名で行ってきました。
ビルはアメ横の中にあり、飲食から物販・サービス系等様々な業態の店舗が営業を営んでいます。
当社では防火対象物点検資格を持っているのは私だけなので、私が自ら点検に伺います。
ところで、防火対象物点検の「趣旨」ってご存知ですか?
・どうして防火対象物点検制度ができたの?
・どんな建物に防火対象物点検が必要なの?
2001年(平成13年)9月に新宿・歌舞伎町の雑居ビルで発生し、44名もの人名が失われた大規模な火災事故が「防火対象物点検資格者制度」スタートの大きなきっかけです。
この火災事故があったビルは上述のアメ横のビルと同様に歌舞伎町の繁華街にあり、各階が店舗営業をしていました。
ビルに一箇所しかない階段の各所には、店舗ので使う食材やリネンなどがダンボールで積まれていて、階段を使うことは困難な状況でした。
そして火災を想定した消防訓練や避難訓練は行われていませんでした。
ビルの所有者は消防法上の義務である防火管理者を選任せず、自らも日常の防火管理を怠った状態で、消防設備の一部に不具合を起こしたまま放置していました。
上述のように消防訓練や避難訓練が行われないことで、各テナントの経営者や店長も火災予防に意識が向かない、、、といった状況が重なった中で火災が発生し、逃げ遅れた多くの客や従業員が亡くなりました。
この火災事故を受けて、2002年(平成14年)に消防法が改正され、(ざっくりと)階段が一箇所しかないなど比較的避難リスクの高い建物(防火対象物)について「防火対象物点検資格者」に依頼して年1回点検を行い、消防署へ提出することが義務付けられたのです。
防火対象物点検は、建物・テナントの防火管理が消防計画に基づき適切に実施できているか等について点検するものです。
消防計画には、日常の防火管理のあり方や消防訓練の実施、消防設備点検の実施と指摘事項の改善、統括防火管理者によるマネジメント等が書かれており、これに沿って実行出来ているかを年1回チェックするのが、防火対象物点検の趣旨です。
これらの文脈から、
「建物オーナーから選任された統括防火管理者(や個々のテナント)が、日常の防火管理や消防訓練などを適切に行なっているかを年1点検する」
ということも、防火対象物点検の趣旨です。
んん?
この、アメ横のビル、当社(私)が統括防火管理者を引き受けていているのに、その統括防火管理者がやっていることのチェックを、当社(私)が防火対象物点検資格者となって実施するって、、、自己チェック!?
統括防火管理者:私(深山)
防火対象物点検資格者:私(深山)
本当に良いんかいな?と思い東京消防庁へ確認したところ「問題なし」とのことでした。
自らが統括防火管理者となって日常から建物の防火管理を履行し把握しているので、自らが防火対象物点検を行うのは合理的で効率的ですが、それだけに「法令遵守、一層しっかりとやらねば」と変なプレッシャーがあります。
防火管理、本当に奥が深い。