「うちはオール電化で火の気がないんだから」
マンションの消防設備点検に行くと、居住者からこう言われることがあります。
「うちはオール電化で火の気がないんだから、消防設備点検なんかしなくてもいいんじゃないの?」
確かにおっしゃる通り、オール電化の家電には「火の気」はありません。
しかし、電気でも「火災」は起こります。
よく知られているのが「トラッキング火災」です。
劣化したプラグ(コンセント)やその周辺にたまったほこりが原因で出火してしまうことがあります。
2013年、福岡市の整形外科で発生した火災は、まさに「火の気がない」場所からの出火。トラッキング現象が原因であると言われています。
電気機器メーカーが、発火の恐れがあるとして機器をリコールすることがあります。
初期不良であれば、たとえ新品であっても火災の原因になる可能性があります。
電気は目に見えず、臭いもないので油断しがちです。
しかしガスや灯油と同等の危険物なのです。
オール電化のマンションだからといって、「火災」は起こります。起こった火災に初期段階で気づき対処するために、火災感知器など消防設備の点検は必要なんです。
こたつだって火災の原因に
テレビ番組で、よくある電気火災の一例が取り上げられていました。
こたつ(イマドキはコタツ?炬燵?)の中の洗濯物から出火するパターンです。
洗濯物が乾きにくい冬場、生乾きの洗濯物をこたつの中に入れて乾燥させること、ありませんか?
あちこちにコインランドリーのある便利な街では、こたつを乾燥に使うことはあまりないかもしれませんね。
エアコンで乾かすというご家庭も多いでしょう。
この映像、私にとっては懐かしい光景です。子どものころ、こうして洗濯物を乾かしていた記憶があります。
洗濯物を乾かすことはさほど多くなかったですが、同じ条件でもっと頻繁にやっていたことがあります。
それは、冬の朝に着替えるとき、冷たい服をこたつの中に突っこんであたためてから着ることです。
うわー、懐かしい!
ところがこれ、実はものすごく危険な行為だったのです。
コタツから出火もある
映像では、こたつの中の衣類がヒーターに触れて、しばらくすると出火したのです。
一度ついた火はあっという間に広がりました。
すぐにこたつ布団に燃え移り、手に負えない大きさになりました。
恐るべし、電気!
最初にも言いましたが、電気は目に見えず臭いもないので、ついつい油断してしまいます。
他のエネルギーに比べて取り扱いやすくて安全というイメージが強いので、完全にコントロールできていると勘違いしてしまうのです。
しかし、電気のコードの中にはかなりのエネルギーが流れています。
特に、留守をしがちなお宅やひとり暮らしの場合は、人目のない時間が長いので、より注意が必要です。
電気の他にも意外な火災原因
火の気がないのに発生する火災。
電気のほかにも、予想外のものが火災の原因になることがあります。
水の入ったペットボトルや凹面鏡が太陽の光を集めて発火する「収れん火災」というのがあります。
収れん火災は、夏の暑い季節よりも冬に多く発生します。
太陽の角度が低い冬場には、日光が部屋の奥まで入ってしまうからです。
光を集めやすいものは日の当たらない場所に置くようにしましょう。
以上、「消防設備コレクター」よっしーでした!
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