新しい消防設備と古い消防設備
新しい消防設備と古い消防設備は、どちらが良いのでしょうか?
そりゃ機能的には、年々悪いところが出てくる古い消防設備よりも、新しいピッカピカの消防設備のほうが良いに決まっています。
現在の消防法の規定にも則っていますし、維持管理コストも低く抑えることができます。
だけど
「点検が楽しいのはどっち?」
となると、一概に最新式がいいとは言えないような‥‥。
「点検が楽しい」というのは完全に点検スタッフ側からの視点です。
消防設備の作動試験をしてオモシロイかどうか、ということですね。
今日はそんな話です。
ラクチン!最新でイマドキの消防設備
新しい消防設備を点検するのは、非常にラクチンです。
なぜなら、新しい設備は保守管理の手間の軽減のことも考えて作られているからです。
・従来は点検スタッフが2名でやっていた作動試験が、一人でできるようになった。
・重かった設備が楽に持ち運びできるようになった。
など、設備に工夫が加えられて進化しているのです。
例えば自動火災報知設備。
自動火災報知設備は、室内で発生した火災で、火災感知器が発生した熱や煙を感知して、受信機に自動で「火災発生」の信号を送る設備です。
消防設備点検では、室内の天井に付いている火災感知器ひとつひとつに熱や煙を当ててみて、本当に感知するのかどうかを調べます。
マンションなら、当然すべての部屋やクローゼット、押入などを点検します。
つまりお部屋一軒ずつ我々点検スタッフがあがりこむのです。
しかし、新しい自動火災報知設備は違います。
クローゼットどころか、部屋にも入りません。
玄関先のインターフォン(ピンポンですね)。あの呼び鈴のところに下の自動試験器を接続して、それで部屋のすべての火災感知器を作動試験することができるのです。
これは我々点検スタッフのみならず、部屋にお住まいの方にとってもラクチンでしょう。
なにしろ、見知らぬ他人が寝室やクローゼットに入りこむなんてことがないのですから。
消防設備点検の日に仕事やプライベートを犠牲にして在宅するというスケジュールの調整もいりません。
部屋にいなくても良いんです。
さらにもっとラクチンなことに、全住戸の火災感知器の点検を管理事務室の受信機ひとつでできる設備もあるのです。
すべての玄関先まで行かなくて良いのです。
点検時間が大幅にカットできるので、点検費用もその分お安くできる・・・はずです。
確かに点検は楽になったが、、、何かが足りない!
ところが。
そんなラクチンな消防設備点検を実施した日、なんとなくヘンな気分でした。
さびしいというか、つまらないというか‥‥。
ヘンな気分の理由は、入居者の方たちとの点検を通じた触れ合いがない!
からだったのです。
プライベートな部屋に入っていくのは、いかに法定点検といえども気を遣います。
「どうぞ、お願いします」と招き入れられても、できるだけスムーズに終わらせたいのです。
そんな気の引ける点検中に、お住まいの方とちょっとした世間話ができると、私はとっても気がラクになるのです。
作業中なので長話は慎んでいますが、設備に関する豆知識や防火についての情報を提供できる時間でもあり、チャンスでもあります。
また、小さなお子さんが私について回って点検の様子を見ていたり、ときには小さな手土産をいただいたり。
自分が、そんなふれあいを重視しているんなんて、完全自動試験の設備を使って点検するまではあまり意識していませんでした。
完全自動試験のマンションでは、会話するのは管理人さんだけ。入居者の方がたまに出入りするので、あいさつをします。
でも、今日が消防設備点検の日だって認識されてるのかなー。
私がウロウロしているのが消防設備点検だって理解されてるのかなー。
自分が住んでいるマンションにどんな消防設備がついているか、知ってるのかなー。
なんて、次から次へと‥‥。
点検や管理がラクチンな最新式の消防設備と、ひとつひとつ見て回る手間のかかる古い消防設備。
点検スタッフ(当社スタッフだけかもしれないですね)の視点で楽しいのは、古い消防設備なのでした。
以上、「消防設備コレクター」よっしーでした!
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