兵庫県尼崎市の分譲マンション管理組合の理事さんから、質問のお問い合わせをいただきました。
非常に鋭いご質問です。
この理事さんからのご質問と当社からの回答をほぼ転載します。
(一部言葉の過不足を修正しています。)
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Q:防火管理者の外部委託についてお聞きしたいのですが、ホームページに「防火管理者の名義貸しのみはお断り」と記載がありますが、実態を伴わない防火管理はダメであるということと認識いたします。
もし御社に防火管理者の外部委託をしたとし、当管理組合が積極的に協力しあって防火訓練などを行ったが、万が一、火災などが起こってしまった場合などの責任の所在というのは、誰となるのでしょうか?
A:防火に関するすべての責任は、管理組合理事長(賃貸マンションや貸しビルの場合は建物オーナー)にあります。理事長は防火管理者の選任の有無にかかわらず、建物の代表者(権原者)として、常に責任の有無の対象となります。
そのうえで、もし理事長が防火管理者を選任して、日常の防火点検や消防訓練等の防火管理業務を継続的に行わせていれば、万が一火災が起こっても、警察・消防の判断としては、「普段の防火管理を適切に行っっていた上での事故であるので、責任を負わせるには至らない」となると考えます。
※「考えます」といいますのは、当社は消防や警察の当事者ではないので、100%の回答を言える立場ではない、という意味です。
以上のことから、
・防火管理に関する最終責任は理事長(建物オーナー)です。
・当社としては、理事長に罪がいかないように(リスクを負わせないように)、防火管理者が法令に則り日常の防火管理活動を行い、万が一火災事故が発生しても理事長にお咎めがないようにする(安心して理事長をお引き受けいただけるような体制を提案する)という考え方でお仕事をお引き受けし、業務に当たっています。
仮に、管理組合が選任した防火管理者が、日常の防火管理業務を遂行していないと、実態として「名義貸し」状態となり、万が一火災が起こっても、防火管理者だけでなく、(名義貸しを黙認していた)理事長にも責任が追求される可能性が高くなります。
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以上の回答を差し上げた後、ご質問者から、次の感想をいただきました。
・最終責任が、理事長にあるというのは、意外な事実でした。
・また、取り組み方によって、責任のかかり方も違うということがわかり、正しく恐れることができそうです。
この、「正しく恐れることができる」は、非常にクールなご感想で、本質を突いたものだ、と思います。
ただ漠然と「大丈夫だろう」とか「不安で仕方がない」ではなく、リスクを正確に把握したうえで、「じゃ、具体的にうちのマンション管理組合の場合はどうするか」と考えることが、確実な課題解決の一歩となります。
あくまで理想は、管理組合理事長が居住者から防火管理者を選任し、選任された防火管理者が必要な防火管理業務を確実に行い、理事長がそれを把握しておく(記録を残す)ことです。
当社のような外部委託先へお金を払わずに自分たちで実践することが消防法の趣旨であり、最良の方法です。
最適解をみつけられますことを。