防火管理者の外部委託が認められないケースもあります

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防火管理者の責務、「巡回防火点検」とは

当社では防火管理者に必要とされる責務の中で、

  • 消防用設備等の点検・整備を行うこと
  • 火気の使用又は取扱いに関する監督を行うこと
  • 避難又は防火上必要な構造及び設備の維持管理を行うこと

の3点を「日常の防火管理業務」と位置付けし、毎月1回、専門のスタッフがお客様から依頼された建物等へ行き、防火管理に特化した点検(巡回防火点検)を実施しています。

この点検時に防火管理上不適切な状況を発見した場合は、対象の入居者やテナントに対して直接指摘をします。また、必要に応じて、外国語にも対応した効果の高い「警告文」を残置物に貼り、火災時を想定した避難路の確保、火元の注意に努めています。さらには、巡回防火点検を実施した証として点検報告書を作成してクラウド上にデータ保管をするとともに、お客様にも毎月提出しています。

巡回防火点検は、どうすればお客様の代わりに日常の防火管理を履行できるかを考え、総務省消防庁や東京消防庁、管轄消防署に足を運んでアドバイスを受けて確立させたシステムです。

数年前までは、スタッフが点検後に自宅でExcelを用いて点検報告書を作成していましたが、現在は独自に開発したシステムを用い、現地でスマホを操作して写真や報告内容をタップすれば、瞬時にデータが本社に送信され、自動的に点検報告書が作成されます。

作成された点検報告書は本社で最終確認をしますが、それまで現地スタッフが1物件ずつExcelで作っていた報告書と比較すると、記録された情報の正確性と文言の統一感、見た目の美しさが格段と改善されました。

巡回防火点検を実施した証として点検報告書を作成してクラウド上にデータ保管をするとともに、お客様にも毎月提出しています。

防火管理者業務の証、点検報告書を作成する目的とは

点検報告書を作成する目的は、管理権原者であるお客様に物件の防火管理上の現状(問題点の有無)を把握してもらうことが第一ですが、実はもう一つの重要な目的として「防火管理に努力し続けたエビデンス(証跡)とする」があります。

建物オーナー等を防火管理の最終責任者である「管理権原者」と呼びます。
管理権原者には防火管理者を選任する義務がありますが、選任したら終わりではなく、その先が重要です。

防火管理者には防火管理上必要な業務を適切に遂行することが求められますが、この防火管理者が実質「名義貸し状態」で、防火管理業務を何もしていなかった状態で問題が発生すれば、最終責任者である管理権原者の責任は免れません。

具体的には、火災が発生して被害者が出てしまった際に、その被害の原因が「避難経路にモノがあふれていて防火戸が機能しなかった」等の防火管理上の不手際だった場合、最終責任者である管理権原者に刑事責任が問われる可能性があります。
2001年9月に起きた「歌舞伎町ビル火災」では、防火管理上の責任を問われた管理権原者であるビルオーナーら5名に、業務上過失致死罪で禁固2年から3年、執行猶予4年から5年の有罪判決が下されました。

一方で、火災被害者が出たら管理権原者に必ず刑事責任が問われるのかと言えば、決してそうではありません。
どんなに美しい建物でも放火のリスクは必ずあります。
それはつまり、人が出入りする建物である以上、どんなに防火管理に努めていても火災被害者が出てしまうリスクがあることを意味していますが、そのたびに管理権原者に刑事責任が問われるようでは誰も建物を所有しなくなります。

重要なことは、火災が起きてしまった際に「防火管理にしっかり努めていたことを消防や警察に証明できるか」ということです。

この証明はもちろん当社が行いますが、この際に「日常の防火管理の証である点検報告書」がお客様を守ると確信しています。

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当社の外部委託が認められないケースもある

当社の防火管理者サービスのひとつである「最低月1回の巡回防火点検」は消防計画にも入れて履行しています。
当社の作成する消防計画が管轄消防署に受理されないケースはありませんが、消防計画を提出する前に消防署の窓口に行って、当社の防火管理者業務への取り組みを説明する機会があります。その際に「それだけ管理すれば完璧です」と太鼓判を押してくれる消防署もあれば、「月1回の巡回点検では防火管理者の外部委託は認められない」と言われてしまう消防署もあります。

外部委託の許可が下りなかった消防署には、具体的にどのようにすればいいのか尋ねましたが、何回点検に行けばいいという問題ではなく、住人の中から防火管理者を選任すべきとの一貫した考えで、それが難しいので外部委託をお願いされている旨を丁寧に説明しても認めていただくことはできませんでした。この消防署は重要文化財が数多く存在する都市にあるので厳しい判断をしているように感じました。

外部委託可否判断は、消防署(もっといえば担当者)で全く異なるので本当に難しいです。

工事中等を理由に「一定時期、巡回防火点検をやらなくていいので月額請求はなしでお願いしたい」という申し出が稀にありますが、基本的に顧客都合による巡回防火点検未実施を理由に月額報酬を無料とする運用はしていません。巡回防火点検はあくまでも防火管理者業務の一部であり、お客様の都合で点検を実施しなくとも、当社が防火管理者からの選任を外れるわけでは無いからです。

実施する業務ごとに単価を定め、その合計から月額を決めているわけではありませんので、ご理解をお願いします。

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