代表で防火管理者の深山(みやま)です。コロナ禍で当社の防火管理者外部委託サービスを利用される企業(業種)に、少しずつ変化が表れています。表題の通り「シェアオフィスやコワーキングスペースの運営企業」からの防火管理者委託に関する相談が増えています。「ちゃんと従業員の中から防火管理者を選任し、消防計画を提出したのに、消防署から指摘があった」「査察(立入検査)が入り、どうしたらよいか困っている」という趣旨のご相談です。
特に、小規模のシェアオフィスやコワーキングスペースで、オフィス内に従業員を配置しない「無人型」で多店舗展開する企業からのお問い合わせや受託が増加しています。
運営企業からすると、無人型のシェアオフィス・コワーキングスペースが採算を向上させ事業を成り立たせるためには「従業員を置かず運営コストを削減する」ことが重要です。
一方で、消防法の趣旨からすると「無人のオフィスで不特定多数(多数とまではいかないでしょうか)の利用者が常時出入りするような店舗(テナント)で、本当に防火管理の体制が作れるのか?またその体制を恒久的に維持できるのか?この消防計画では絵に描いた餅にならないか?」という点に疑問があると、店舗へ査察(立入検査)に入ります。
シェアオフィスやコワーキングスペースは大都市圏の駅近くに展開される事業で、ビジネス街・繁華街のオフィスビルや雑居ビルの一室をリノベして店舗展開します。シェアオフィスやコワーキングスペースの利用者が火気を扱うことは考えにくいものの、他のテナントが火気を使えば必然的に火災・災害時のリスクが高まります。ですので管轄の消防署や各消防局(東京は東京消防庁)の目が厳しくなります。
シェアオフィスやコワーキングスペース事業者の従業員が防火管理者を取得しているからといって、防火管理に精通しているわけでなく、また複数の店舗のオペレーションを一人で担当するのが通常であることを考えると、消防側が「本当に防火管理ができるの?利用者の安全を守れる体制にあるの?万が一の災害時に速やかに駆けつけ対応する体制があるの?」と厳しい目を向けるのは、いわば当然のことなのです。