こづっきです。今回は、東京消防庁が定める「管轄消防署が防火管理者の外部委託を認めるための6基準」について、お話しします。
今回もオチはありません。
私(こづっき)がメルすみごこち事務所の防火管理者業務に参画したばかりのころの話です。
東京都中央区、東京駅丸の内側に立つ超高層ビルのテナント部分(あるフロア部分)について、テナント利用者である企業(今回のお客様)から、防火管理者委託のご相談をいただきました。
さっそく防火管理者の選任届や消防計画を準備して、管轄の消防署へ伺います。お客様と当社との外部委託契約書など付属資料も揃えています。
すると、消防署の担当者から
「(テナント利用者が当社に防火管理者を)外部委託できる条件を満たしていない可能性があり、届出を受理できない」
とのご指摘をいただきました。
「ビルのテナントには、そこに勤務する従業員がいるはずだろうから、、、」というものでした。
防火管理者の外部委託を認めるための6基準とは
東京消防庁が、防火管理者の外部委託を認めるための基準は、
(その建物やテナント部分において)管理的、または監督的な地位にある方が、
- 東京消防庁管外に勤務している。
- 身体的な事由(高齢・病気等)がある。
- 日本語が不自由である。
- 所有者または占有者が頻繁に変わる。
- 従業員がいないか、または極めて少ない。
- その他、消防署長が認める事由がある。
(東京消防庁ホームページよりお借りしています)
これらのいずれかに該当する場合は、自ら防火管理者に選任することが困難である(または選任しても責任をもって防火管理業務に当たることが困難である)と判断できることから、例外的に第三者への委託を認める、というものです。
今回、消防署の担当者が「外部委託はNG?(テナント側で防火管理者が選任できるのではないか?)」と指摘したのは、この基準の5番目、
「(テナント内に)従業員がいないか、または極めて少ない。」
には該当しないのではないか?という点でした。
それはそうです、東京は丸の内の一等地にある超高層ビルのワンフロアですから、普通はそこに勤務する従業員がたくさんいるでしょう、となりますよね。
そこでこづっきから、次のような補足説明をしました。
- 部屋の用途は、接客(打合せ)や社員研修等のためにスポット的に使用するものであること。
- テナント(オフィス)には従業員が2名いるが、1名は常勤でなくパート清掃員で月2回の勤務、もう1名は経理の方で勤務は月1回であること。
すなわち、今回のお客様の場合、テナント内は基本的に無人で必要に応じて利用しており、その頻度は不定期、という使い方であることを説明したのです。
最終的に担当者に趣旨をご理解いただくことができました。お客様が外部(当社)へ委託せざるを得ない理由を防火管理者選任届に明記することや、受託者としての当社が日常の防火管理を行う際に、ビル全体の消防訓練に参加すること、等を条件に、外部委託の届出を受理していただいたのでした。
以上です。
文章にするとサラッとしていますが、実際は消防署の担当者から鋭い質問やご指摘をいただき、脇の下に嫌な汗をかきながらお客様と当社と消防署とを何度も行き来し、ようやく外部選任が認められたのでした。
今では良い勉強になったと振り返っていますが、やはり脇の下の汗はかきたくないものです。
(こづっき)