民生委員の気づきが防火管理に活かされなかった
札幌市東区の自立支援施設で起こった火災事故。残念ながら11名の方がお亡くなりになりました。
このニュースを見て、僕たちが事業としている防火管理者の役割がいかに重要で、責任重大かを思い知らされました。
地元の警察や消防が調べを進める中で、入居者が部屋のストーブの上で洗濯物を干すなどしていたことを、民生委員が管理人に注意していたことがわかりました。
(以下、画像は北海道文化放送・UHB様ニュースより)
このニュースでは「防火管理者」というフレーズが一回も出てこなかったことと、映像からみた建物の大きさから、恐らくこの自立支援施設は防火管理者の選任が必要な建物(防火対象物)ではない、と思われます。
民生委員が「ストーブの上に洗濯物が掛けてあったり、飾り物があったり」と、火災が発生しやすい状況であることを施設の管理人に指摘していました。
この民生委員は、建物が防火対象物であれば防火管理者が行うべき活動を、施設(入居者)巡回の際に実施してくれていたことになります。
些細に見えてとても大切なアドバイスです。しかし、残念ながら施設の防火管理に活かされず、火災事故につながってしまいました。
消防による査察(立入検査)は建物側の緩みを直す効果が
UHBニュースでは、この事故を受けて近隣自治体である小樽市の消防局が住宅型有料老人ホームに対し査察(立ち入り検査)を行っている様子が映されていました。
査察では、消防局の方が「(火災事故があった際に屋外へ速やかに逃げるための)避難経路をふさがないよう」と指摘していました。
また、札幌市でも老人ホームや社会福祉施設に対して防火対策を呼びかけたり防火に関する調査を始めています。
大きな火災事故が起こると、その管轄や近隣の消防局だけでなく、火災が起こった防火対象物(建物)と同類の建物を管轄内に多く抱える消防局が、一斉査察(立入検査)に入ります。ここで建物管理者に対し、消防設備や防火管理についての不備を指摘し、早急な是正を求めます。
基本的に、消防の取り組みは、ほとんどの建物管理者にとっては「面倒くさい」「いい迷惑」かもしれません。「対岸の火事」という言葉がそのまま使えるくらい、ほとんどの方にとって火災事故のニュースは他人事です。
でも、この「対岸の火事」という緩みを引き締めてくれる効果が、消防による査察には確かにあります。
最後は建物オーナーと防火管理者にかかっている
日本と諸外国を比較したことはありませんが、日本の「事故があったらすぐにチェックを厳しくしたり、ルール(法)を強化する」という行政側の姿勢は、ちょっと神経質・過剰に思えて、こと防火・災害対策についてはとても高いレベルにあるのではないか、と考えます。
火災事故は年々減っています。建物が耐火になったり、消防設備が充実したり、消防の方々の地道な活動が継続される等の積み重ねは、他人事の人にすれば「過剰」「やり過ぎ」「高コストになる」とネガティブに捉えられるかもしれませんが、着実にリスク低減につながっています。人命には変えられませんよね。
あとは、建物側の問題です。「建物管理者の低意識と防火管理者の業務不徹底」ここが改善されれば、火災事故はますます減少し、人命が救われるよな、、、と、この民生委員のコメントを聞いて改めて思い直し、いま一度、自らの防火管理業務を振り返るきっかけにしてゆこうと考えた次第です。
お亡くなりになられた方のご冥福をお祈りします。