タワマンで統括防火管理者との兼任・アウトソーシング

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東京の大規模・タワーマンションと「防火管理技能者」

3月2日のブログ記事「(東京限定)防火管理技能者の委託需要について」で書いたように、都内のタワーマンションから防火管理技能者の委託に関する照会がで始めたことから、私自身が防火管理技能者の資格を取得しつつ勉強しました。

で、このほど、某管理会社からの依頼で、あらたに防火管理技能者についての照会をいただきました。
※後日に防火管理技能者業務を受託しました。

この「防火管理技能者」について詳しく理解している管理会社や不動産会社は多くないと思います。
なにしろ対象となる建物は「東京都内」の「約2,300の建物」と少なく、経験する機会が限られるからです。

私も最初は「なぜ必要?」「どんな仕事?」「手続き方法は?」「提出書類は?」と、わからないことだらけでしたし、東京消防庁のHPに詳細の記載がありますが、防火管理の実務にあたっていない方には、実感をもって理解することは困難でしょう。

※制度の成り立ちや対象・業務については、「(東京限定)防火管理技能者の委託需要について」をご覧下さい。

防火管理技能者と統括防火管理者は「兼任できない」

※東京消防庁HPより画像転載

タワーマンションや大規模マンションでは、「統括防火管理者」「(住居共用部の)防火管理者」そして低層階に店舗が入るような物件では「テナント防火管理」と、防火に関するプレーヤーが多い上に、新たに防火管理技能者が必要となり、複数の防火系スタッフが必要ですが、住民から「なり手を探す」のはかなり大変ではないでしょうか。

そもそも「防火管理技能者」に就任するためには「防火管理者資格」等の資格を有していないと、防火管理技能者の資格を得るための講習の受講資格すらありません。
住民がゼロから防火管理技能者を取得しようと思えば、最初に甲種防火管理者講習を受け(丸2日間拘束)、その後で防火管理技能者講習を受ける(これまた丸2日拘束)必要があります。
計4日が必要です。

しかも、住民がそこまでして防火管理技能者になるメリットがあるか、、、といえば、ほとんど無いでしょう。
資格だけ貸して何にもしない「名義貸し」は、万が一の火災事故で背負うリスクが高いです。
「勉強になる」「資格が手に入る」「管理組合から手当がもらえる」というモチベーションか、私のように「ビジネス上必要」という理由しかありません。

そして、防火管理技能者はあくまで「(統括)防火管理者の補助者」ですので、統括防火管理者との兼務ができません。
ただでさえなり手の少ない防火系の資格者を住民から「複数名選出する」のは非常に困難だと思われます。

東京都心のタワーマンションや大規模マンション暮らしを送る住民の多くは、「眺望」「最新設備」だけでなく「ホテルライク」「利便性」「(通勤や通学・遊びのための)移動時間短縮」を買っている感覚が多分にありますでしょうから、わざわざ防火系の仕事をボランティア(またはわずかな手当)で引き受けることは考えにくいです。

防火管理技能者のアウトソーシングは必要?

防火管理の基本原則は、あくまで住民(ビルの場合は管理業者等)による防火管理体制構築ですが、上述のような現実からすると、特にタワーマンションや大規模なマンション・管理会社による防火サポートが受けられないようなビルでは、防火管理技能者のプロへのアウトソーシングは絶対的に必要と思いますし、そもそも、(統括)防火管理者も委託し、プロによる防火防災体制の強化を図ることが、マンション運営において本質的なのではないか、と考えています。

さて、前述の「お問い合わせをいただいた管理会社の方」へ、現状の防火管理体制について簡単なフローチャートを作って、確認して頂くことにしました。制度もプレーヤーも少し複雑で馴染みがないので、マンション住民(管理組合)・管理会社と理解を共有し、必要な業務を納得の上でアウトソーシング頂けるようになればと思います。

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