スプリンクラーの水は「美しきシャワー!?」
マンションやビルの部屋の天井についているスプリンクラー。
スプリンクラーヘッドから出てくる水に、どんなイメージを持っていますか?
天井から降ってくるシャワー?
水浸しの家具?
それとも、びしょぬれになったヒーローとヒロインがすすだらけの顔を見合わせる、映画で見たあのシーン?
実際の火事にしても誤報にしても、スプリンクラー設備が作動して水が噴射すれば、水損はかなりのものです。
スプリンクラー設備は、とにかく「火を消すこと」を最優先に作られているので、とにかく火事の兆しがあれば、ものすごい勢いで水が噴射します。
その結果、スプリンクラーの下に置いてある家電などの電気機器は全滅、紙類もダメ。
階下にまで水漏れしてしまいます。
「いや、紙や家具は水で濡れても乾けば大丈夫!」
「家電も洗えば使えるかもしれない」
と思っている、そこのあなた!
カフェラテじゃないぞ!スプリンクラー水
実は、スプリンクラーが作動したとき出てくるのはこんな水なのです。
カフェラテじゃありませんよ。ドロ色に濁った水です!
これが天井から降ってくるのです。
スプリンクラー設備の水は「死に水」だ
非常用の設備であるスプリンクラーの水は、死に水です。
配管の中で動かない水のことです。
配管の中に入れられた水は、スプリンクラーが作動するまで「配管の中で身じろぎせずじっとしたまま」なのです。
スプリンクラー配管の水は飲めません。飲用不可です。飲料水とは別の配管を使っています。
※飲料水と配管を共有するタイプのスプリンクラーもあります。
水をときどき出してやる
半年に1度の消防点検では、スプリンクラーが正常に作動するかどうかの検査もしています。
と言っても、半年ごとに室内でシャワーを出してみるわけではありません。
配管の端に、検査用の排水弁がついています。その弁を開けて水を出してみるのです。
そのときに出てくる水が、さっきのカフェラテ写真です。
一般的なスプリンクラー設備の場合、室内で火災が発生しスプリンクラーヘッドが高熱になり水が噴射をはじめると、配管の中の水圧が下がります。
水圧が下がったのを合図にしてポンプが自動的に起動し、本格的な噴射が始まる。
ポンプの力で、水の少なくなった配管の中に新しい水を送りこむのです。
スプリンクラーはそういう仕組みになっています。
水が出るかどうか。ポンプが作動するか。
これを半年ごとの消防点検で検査しています。
こうして半年ごとに水を出してはいますが、配管の中の水を全部入れ替えるわけではないので、やっぱり配管の中の水は死に水のままです。
だからスプリンクラーの水は浴びないに越したことはないのです。
以上、「消防設備コレクター」よっしーでした!
《防火管理・消防設備・防災支援を通じて建物の長寿命化と不動産価値の向上を!》