消防署のテナント指導を改善!統括防火管理者の責務とは

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放置できない!テナント防火管理の課題とその解決策

防火管理者のこづっきです。

当社が共用部の防火管理者および統括防火管理者を務める千葉県内の共同住宅と飲食テナントが混在する複合用途ビルにおいて、テナント部分の防火管理に関する課題が浮き彫りになりました。  

共用部については、当社が防火管理者として適切な管理を実施しており、大きな問題は発生していません。しかし、テナント部分に関しては、消防署からの指導が繰り返し行われているにもかかわらず、必要な改善が進まず、対応が滞っている状況が続いていました。  

本来、テナント部分の防火管理責任は各テナントが負うべきものであり、当社の直接的な管理下にはありません。 しかし、統括防火管理者として建物全体の防火管理を担う立場から、この問題を見過ごすことは、建物利用者の安全性の低下につながる可能性があると判断しました。そこで、管理会社と協力し、対象テナントへの具体的な注意喚起や指導を強化するなど、改善に向けた取り組みを開始しました。

繰り返される消防署の指導、テナントの防火管理の実態とは?

指導の対象となっているテナント部分では、さまざまな防火管理上の問題が見受けられました。

1. 防炎製品の使用不備
飲食店の暖簾が防炎製品ではないなど、本来防炎性能を有するべき物品が適切に使用されておらず、消防法の基準を満たしていません。

2. 防火管理者の未選任
いくつかのテナントにおいて防火管理者が選任されておらず、消防署への届け出も行われていません。その結果、防火管理体制が構築されず、適切な防火対策が講じられていない状況が続いています。

3. 消防計画の未作成
防火管理者が選任されていないため、消防計画の作成が行われておらず、対応が後回しになっているテナントが存在しています。消防計画がないことで防火対策が曖昧になり、万が一火災が発生した際の対応力が著しく低下するリスクを抱えています。

4. 消防訓練が未実施と判断せざるを得ない
特定防火対象物の防火管理者には、作成した消防計画に基づき、年2回以上の消防訓練(消火・通報・避難訓練)を実施する義務があります。しかし、当社が主体となって実施している建物全体の消防訓練について、テナント側で情報が十分に共有されていない状況が見受けられます。訓練の日時や参加を促す案内(告知チラシ)は可能な限り手渡しするよう努めていますが、テナント内のスタッフまで十分に伝わらず、告知チラシが破棄されてしまうケースもあるため、一部のテナントでは訓練の実施自体を認識していないことが判明しました。その結果、消防署から訓練の実施状況について確認された際に、「知らない」「参加していない」と回答するテナントが出てしまい、結果的に訓練未実施と指摘される事態が生じています。

5. 消防署の指導の無視
消防署が査察(立入検査)を実施し、テナントに対して直接指導を行っているものの、「今度やる」と口頭で回答するだけで、実際には改善が進んでいないケースが多く見られます。

テナントの防火管理改善へ、管理会社との連携強化

こうした状況を改善するため、当社は建物の管理会社と連携し、統括防火管理者としてテナントに対してより積極的な働きかけを行うことを決定しました。  

まず、統括防火管理者である当社と管理会社の連名で文書を作成し、各テナントに直接手渡しました。この文書は単なる注意喚起ではなく、消防署からの指導内容を具体的に説明し、どのように改善すれば違反を解消できるのか、さらにはそれが来店するお客様の安全確保につながることを、東京消防庁の資料も参考にしながら詳しく伝えるものです。また、消防署の指導内容をよりわかりやすい言葉に置き換え、各テナントが「何をすればよいのか」を明確に理解できるよう工夫しました。  

こうした取り組みによって、多くのテナントでは前向きな反応が得られ、具体的な改善に向けたアクションが進み始めています。しかし一方で、言葉の壁がある飲食店などでは、説明が十分に伝わらず対応が遅れているという課題も浮き彫りになりました。今後は、このような課題を解消するため、多言語対応の資料を作成するほか、通訳を活用した説明会の実施など、より効果的な支援策を検討していく必要があると考えています。

統括防火管理者である当社と管理会社の連名で文書を作成し、各テナントに直接手渡しました。この文書は単なる注意喚起ではなく、消防署からの指導内容を具体的に説明し、どのように改善すれば違反を解消できるのか、さらにはそれが来店するお客様の安全確保につながることを、東京消防庁の資料も参考にしながら詳しく伝えるものです。

消防署の方針とは?テナント防火管理者の外部委託が認められない理由

当社では、テナントの防火管理者の成り手がいない場合に備え、入居する建物の(統括)防火管理者に当社が選任されているテナントに対しては、月額1,800円(税抜)という特別価格で防火管理者を引き受けるサービスを提供しています。しかしながら、本物件を管轄する消防署の方針として、テナント部分の防火管理者を外部委託することは認められていません。

その理由として、消防署は以下のような見解を示しています。

  • 防火意識の低いテナントが外部委託を利用すると、完全に丸投げになり、適切な防火管理が実施されない可能性がある。 
  • そもそも、テナント部分の防火管理者は原則として内部選任すべきであり、外部委託は認められない。
  • 仮に外部委託を認めたとしても、非協力的なテナントばかりでは、当社に過度な負担がかかることが懸念される。  

こうした消防署の方針も踏まえ、当社としては、引き続き統括防火管理者としての役割を果たしながら、テナントとの対話を重ね、少しでも状況を改善していくことが求められています。また、建物利用者の安全を最優先に考え、今後も防火管理の取り組みを強化し、管理会社や消防署と適宜連携を図っていきます。

そのような中、先日、消防署から「メルすみごこち事務所の対応によってテナントの違反項目が減少している。引き続きご協力をお願いします」とのお言葉をいただきました。

防火管理は、単に法令を遵守するためだけのものではなく、テナントの利用者や建物全体の安全を守るために不可欠な取り組みです。今後も、より安全で安心な建物管理の実現に努めます!

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