ベランダの蹴破り戸の前に私物を置かないで!
マンションなどの共同住宅において、ベランダは個々の居住者の専有部分ではなく、建物全体の所有者や管理組合によって管理・維持される共用部分とされています。廊下や階段はすべての住人が使用することから共用部分としての認識がありますが、ベランダは使用できる住人が限られているため、専有部分に属すると誤解されることがあり、注意が必要です。
共用部分に分類されるベランダでは、居住者が自由に改造や改築を行うことは一般に許されていません。分譲マンションの場合は、その維持修繕費用は、管理組合を通じて全居住者が分担して負担することが通例となっています。したがって、その使用にあたっては、管理組合などが定めるルールや規約を遵守する必要があります。
火災発生時には、玄関から避難階段を使用して避難しますが、そのルートが塞がれてしまった場合、最終手段としてベランダからの避難が選択肢になります。ベランダには、通常、隣の住居へ移動するための「蹴破り戸」が設置されています。
蹴破り戸の前に私物を置くことは厳禁ですが、特に物置やタイヤなど移動が難しい私物を置いている場合は、速やかに撤去するようお願いします。火災時に移動すれば良いと考えている方もいるかもしれませんが、隣に住む方が必ずしも怪力の持ち主であるとは限りません。蹴破り戸の利用は、自分だけのためではなく、共同の安全を守るためのものであることをご理解ください。
なお、蹴破り戸を破壊するには、火事場の馬鹿力は必要ありません。思い切って蹴れば、女性でも破ることが可能です。しかし、素足では難易度が上がる上に、けがのリスクもあります。そのため、ベランダには常にしっかりした履物を準備しておくことをお勧めします。また、フライパンのような硬い金属を使えば、より簡単に破壊することができます。
余談ですが、「ベランダ」とよく似た言葉に「バルコニー」があります。ベランダとバルコニーの主な違いは屋根の有無にあります。屋根がある方がベランダと呼ばれ、使用方法などは基本的に同じです。そのため、必要に応じてバルコニーにも蹴破り戸が設置されます。なお、本コラムでは「ベランダ」に統一してご説明しております。
消防訓練オプションサービスである、マンションのベランダ蹴破り体験「トッパくん」は、実際の素材を使用した蹴破り戸を好きなだけ蹴破る体験ができます。
本サービス利用のメリットは以下の3点です。
- コツを掴めれば容易に蹴破れるという経験をすることにより、いざという時の避難に役立ちます。
- 消防訓練の企画をしても、毎回参加者が少なく盛り上がりに欠けるというお悩みを解決。
- 設置から廃棄まで当社スタッフがすべて行うため、ご希望の枚数の蹴破りボードを蹴るだけです(仕切り板は産業廃棄物として当社が責任をもって処理いたします)。
避難はしごが設置されているベランダは注意!
場所によっては、ベランダに下階への移動を可能にする「避難はしご」が設置されていることがあります。この避難はしごを使用するのは、自分たちだけでなく、横にお住まいの住居や上階から避難してくる人々も含まれる可能性があるため、避難はしごの使用を妨げる行為は絶対にやめてください。
自宅や上階のベランダに避難はしごが設置されているお宅にお住まいの場合、以下の2点に注意してください。
- 自宅のベランダに避難はしごが設置されている場合は、はしごの上部だけでなく、周囲にも私物などを置かず、その使用を妨げないようにする。
- 上階のベランダに避難はしごが設置されている場合は、はしごが降りる場所に障害物を置かないようにする。
避難はしごを実際に使用した経験のある人は少ないでしょう。その本体部分、つまり人が通るスペースは非常に狭く、子どもを抱えての降下はほぼ不可能なため、十分な注意が必要です。さらに、降下部に障害物が存在する場合、はしごを完全に降ろすことができず、使用できなくなる可能性があります。蹴破り戸のように、その場で障害物を取り除くことが難しいため、上階の人々の安全を確保するためにも、障害物を置かないように心掛けてください。
避難はしごの使用については、現役消防士onelove_firepreventionさんがInstagramで公開しているリール(10数秒の動画)が大変参考になりますので、ぜひご覧ください(蹴破り戸に関するリールもお勧めです)。
避難ハシゴ https://www.instagram.com/reel/C2R_CfLBFup/
蹴破り戸 https://www.instagram.com/reel/C2j9Xe_heBt/
■引用元(感謝!)
「一般社団法人 火災予防のONE LOVE」https://www.kasaiyobou-one-love.com/