防災管理者を必要とするテナントのための適切な対応策とは?
消防査察(立入検査)の結果、大規模商業施設などに入居するテナントにおいて、「防災管理者」が選任されていないとの指摘を受ける事例が見られることがあります。防火管理者を選任し、日々の防火管理業務に励んでいると自認していた管理権原者(建物オーナーやテナントオーナーなど)にとっては、予期せぬ事態であると言えるでしょう。
防災管理制度とは、火災以外の災害(地震や毒性物質の発散など)による被害を軽減するため、大規模な建物やその建物に入居する管理権者に対し、防災管理者の選任や防災管理に関連する消防計画の作成などの必要な業務を行わせる制度です。このため、火災による災害を軽減することを目的とする防火管理制度とは根本的に異なります。
防災管理者の必要とされる建物は、駅ビルやショッピングセンター、高層建築物など、多くの人が頻繁に利用する大型施設に限られます。重要な点は、このように防災管理者が必要な大型施設に入居するテナントでは、床面積や収容人員の大小に関わらず、「すべてのテナントで防災管理者を選任する必要がある」ということです。
なお、防災管理者が必要とされる防火対象物には、詳細なルールが定められています。詳しい情報は、東京消防庁のWEBサイトでご確認ください。
《出典》東京消防庁 https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/lfe/office_adv/jissen/p07.html
防災管理者を選任するためには、「甲種防火管理講習および防災管理講習の修了」が必要となります。防災管理者が不要とされる商業ビルや雑居ビルなどに入居する小規模なテナントの場合、1日の講習で取得できる乙種防火管理者の選任が多く見られますが、乙種防火管理者では防災管理者として選任されるための要件を満たしません。
この場合、甲種防火管理講習を新たに終了する必要がありますが、乙種と異なり、甲種は2日間の講習が必要となります。また、甲種防火管理講習の修了と同時に防災管理講習も修了する自治体と、甲種防火管理講習とは別に、さらに防災管理講習の修了が必要な自治体が存在するため注意が必要です。
防災管理者の講習を修了するためには、最長で合計3日間の講習が必要な場合もあり、そのハードルは決して低くはありません。しかし、防災管理者の選任を怠った場合、防火管理者の未選任時と同様に、6カ月以下の懲役または50万円以下の罰金(消防法第42条第1項第1号)の罰則が適用されることがあります。そのため、防災管理者の選任は必ず対応するようにしてください。
メルすみごこち事務所では、防火管理者のみならず、防災管理者の外部委託も承っております。防災管理者に必要な「防災管理に関する消防計画」の作成および届出も確実に行います。防災管理者が必要な建物においても、防災管理者の必要性に基づく追加料金は発生しませんので、ご安心ください。
さらに、建物共用部の防火(防災)管理者、もしくは建物の統括防火(防災)管理者を受託している建物に入居するテナントで、防火管理者や防災管理者の選任が困難な場合、初期費用7,000円(税別)、月額1,800円(税別)で原則として受託が可能です(2023年12月時点)。
防災管理者を選任が難しいと感じる場合は、外部委託を検討してはいかがでしょうか。