防火管理者として毅然とした対応をとります
防火管理者の外部委託サービスの一環である巡回防火点検で「危険な状態」を確認した場合、防火管理者の責務を果たすため「改善に向けた行動」をとります。
危険な状態とは、廊下や階段に置かれた私物が避難経路の確保や防火戸の使用に支障をきたしているようなケースがあてはまります。
この場合、私物の持ち主がすぐ近にいるようであれば事情を説明して撤去を依頼しますが、持ち主がわからない場合は注意を促す「警告文」を貼るようにしています。この警告文には強力な効果があり、ほとんどのケースで翌月の巡回防火点検までに問題は解消します。
当社にお申込みいただくお客様は、そもそも防火管理に対する意識が高いため、2001年に発生した歌舞伎町ビル火災の現場となった雑居ビルのように、階段や廊下にゴミや私物を大量に放置して避難を難しくしたり、残置物に火が燃え移って消防隊の突入すら妨げるような危険な建物は存在しません。
しかしながら、一見大きな問題ではないように見えて、実は「非常に危険な状態」であり、決して「少なくない頻度」で発生する事象があります。
それは「共同住宅の玄関前のスペースに自転車を置く」ことです。
玄関前に自転車を置くことは他の居住者に迷惑がかからないよう一定の気遣いがあっての行動と思われますが、「大地震発生後に火災」という場面を想定した場合、その自転車が倒れて突っ張り棒のような役割を果たし、ドアが開かなくなる危険があります。
そもそも火災は専有部で発生するケースがほとんどです。
玄関ドアは避難経路への道筋であるとともに、火災を周囲に広げないため防火戸の役割を果たしており、それが開かないとなると逃げ道はバルコニーだけとなってしまいます。そのバルコニーに行けないほど室内が火の海と化した場合、一体どこに逃げればいいのでしょうか。
盗難のリスクから守るために、自宅前に自転車を置きたくなる気持ちもわからなくはないですが、自転車を守るために大切な家族や自らの命を落としていたら元も子もありません。
そのような状態を確認した場合、防火管理者として皆さんの命を預かっている以上、責任感と使命感をもって即座に「警告」という行動をとります。
一方で、同様に廊下等の共用部に置かれた自転車であっても、手すりにワイヤーでガッチリ固定して、転倒を防ぐため十分な対応をとっているものを見かけることがあります。一定の避難経路が確保されている場合、巡回防火点検報告書にて管理権原者へ写真付きで報告はするものの、すぐさま警告文を貼る等の強力な手段をとらないケースもあります。
しかしながら、いくら転倒対策を講じたところで、自転車を自宅前まで運ぶ途中で、廊下やエレベーターを傷つけたり、タイヤ跡を壁に残すようなことが必ずといっていいほど発生します。これらは建物の資産価値を著しく下げる要因となりますので、マンション管理士事務所の立場からも改善を提案します。