防火管理者が解任されるケース
お客様から解約の申し出があって、防火管理者の業務委託契約が終了すると、当社の防火管理者も解任されることになります。
消防署に提出する「防火管理者の解任届出書」には「解任理由」の記載が必要なため、お客様にその理由を聞くようにしています。
大変ありがたいことに、当社の対応不足(気をつかっていただいてるのかも知れませんが…)による解約理由はなく、基本的には「自ら防火管理者を選任」「所有者変更」のいずれかで、「所有者変更」による理由が圧倒的に多いのが現状です。
「所有者変更」とは「建物が売買等の理由で譲渡され、建物の所有者が変更となる」ケースを指しますが、防火管理者を解任されるということは、新しい建物所有者の事情で当社の防火管理者を必要としなくなったことを意味します。
防火管理者外部委託サービスは、「防火管理者のなり手がいない」「防火管理者業務をきちんと行いたい」というニーズに応えてできたサービスであり、当社の防火管理者業務に共感してくれる管理会社等から建物所有者への推薦があって契約になることが多いです。
そのため、建物所有者が変更になると、それまでの建物所有者や管理会社との信頼関係が一旦フラット化され、新しい建物所有者が当社を必要とするか否かの判断になります。
その結果として、
- 自ら防火管理者になれば良い
- 管理会社等に防火管理者もやってもらえば良い
- 付き合いのある管理会社等に防火管理者を紹介してもらえば良い
と、新しい建物所有者が判断すれば、当社への業務委託は不要となります。
もちろん当社が実施してきたように、消防計画に基づいて防火管理者として必要な業務を継続して行うのであれば全く問題はありません。
建物所有者自ら防火管理者となるならば、それは「本来あるべき姿」と言えるのかもしれません。
防火管理者に必要な業務を継続してください
建物所有者が変更になる場合、新しい建物所有者に「当社による防火管理者を継続するか否か」を聞くようにしています。
防火管理者として業務を継続することの重要性と、当社に委託することの意義を説明して理解いたけだると、管理権原者変更に伴う消防署への手続きを当社が無料で行い、防火管理者を継続させていただくことになります。
その一方で、新しい建物所有者側が「当社への外部委託は不要」と判断すれば、防火管理者の解任届を消防署へ提出して、その建物の防火管理業務は終了することになります。
新しい建物所有者が防火管理者を準備している場合、当社の方で「解任」+「新しい防火管理者の選任」がセットになった「防火管理者の選任(解任)届」を提出しますが、新しい建物所有者が防火管理者を決めていないまま、とりあえず当社への外部委託は不要と判断した場合、先に解任だけ済ませておくということになります。
このようなケースで消防署の窓口へ行って解任届を提出すると、たいていの場合、「新しい防火管理者は選任されますか?」と聞かれますが、「選任予定です。新しい所有者は防火管理者業務の重要性を理解しているはずです」と回答して引き上げるようにしています。
新しい所有者には「防火管理者業務の継続の重要性」を書面で伝えるようにしており、そのうえで当社の防火管理者外部委託サービスを打ちきる判断をしたということは、「自前で防火管理者を用意し、日常の防火管理業務(巡回防火点検等)を継続する」と、当社では理解せざるを得ないためです。
なお、どの消防署も防火管理の状態の悪い物件を減らすように努めていますから、「新しい防火管理者の選任がされていない」という話になれば、基本的には一定期間を置いて建物に査察(立入検査)に入ることになります。
総務省消防庁では「違反対象物公表制度」をとっており、不特定多数の方が出入りする建物等の重大な消防法令違反に関する情報(建物名、住所、違反の内容等)をホームページ上で公表しています。
この中には当然、「防火管理者の未選任」も含まれていますので、自身の建物が違反物件として衆目にさらされないよう、十分気をつけてください。
総務省消防庁「違反対象物公表制度」
https://www.fdma.go.jp/relocation/publication/