防火管理者のこづっきです。今回は、都内のある分譲マンション(管理組合)から、単発で消防訓練のサポート依頼のお問い合わせを頂いたお話をさせていただきます。
■新築から一度も消防訓練をしたことがない
台東区の築25年、11階建て、約50戸、1階に飲食店や事務所が5軒、2階から上階は住宅が入っているマンションの管理組合の理事長から『消防訓練をやりたいのでサポートしてほしい』とお問い合わせを頂きました。こちらのマンションでは、すでに当社がマンション管理士として管理組合運営のサポートを開始しており、サポートの一環でのご相談でした。
こちらのマンションでは、防火管理者がすでに選任されていて、選任届も消防計画も消防署へ提出されていましたが、マンションが新築されてからこれまで、一度も消防訓練をやっていなかったそうです。
理事会で消防訓練について説明をしてほしい、とのことで私(こづっき)が行ってまいりました。
■なぜ消防訓練が必要なのですか?
理事会へ参加すると、防火管理者である理事さんから『いままで一度も消防訓練をやってこなくても問題がなかったのに、なぜ訓練をしなければならないのですか?』と質問がありました。
私は、なぜ必要?の理由について
- 万が一火災が起こった時に居住者が対処できるように備えておく必要性がある
- 建物オーナー(分譲マンションの場合は管理組合理事長です)に、防火管理者をして消防訓練を実施させる義務がある
- 管理組合理事長から選任された防火管理者に、法律に定められた頻度で消防訓練を実施する義務がある
と回答しました。1は実質的な意味の話で、2と3は法律上の義務の話です。
すると、この理事さんから『私(防火管理者)が消防訓練をやらないと罰せられるのですか?』と質問されたので、
- 消防訓練を実施しなくても、理事長や防火管理者が直ちに罰せられることはない
- しかし、万が一火災事故や災害が発生し、居住者やテナント利用者に人的被害が出て、警察や消防から『消防訓練を実施していなかったことが被害拡大の一因になった』と判定された場合、防火管理者および防火管理者を任命した理事長が刑事罰を受ける可能性が発生する
と回答しました。その後は他のマンションでの消防訓練の実例をお示しして、イメージ喚起をさせていただきました。
流石に質問された理事は、自分が消防訓練を遂行しないことで理事長に迷惑がかかる可能性があることを悪く思ってくださったのか納得して頂き、消防訓練を実施することとなりました。
■初めての消防訓練
こちらのマンションで初の消防訓練を行いました。訓練当日に消防署から4名に来て頂き、住民やテナントから合計で20名が参加され、
- 訓練開始時間に階段を使って避難訓練
- 119番への通報訓練
- 水消火器を使った消火訓練
- 消防署員による講話
を行いました。当日は平日昼間ということもあり女性の参加者が多く、参加者からは消防署員や私に対して、室内で火が出た場合に関する質問を多く頂きました。
- 家庭用消火器が使えなかったら?
→各階に消火器が設置されていますので使ってください。 - 家庭用の消火器はどこで入手できますか?
→ホームセンターで売っていますし、Amazonなどネット通販でも購入できます。 - 火災原因は?
→家電のコードから火が出る事が多い。コンセント差込口はホコリ除去を。
最後は、防火管理者である理事から、参加していただいたことへのお礼のご挨拶と、理事長から締めのご挨拶がなされました。後日、改めてチラシでも投函されました。
また、理事長からお礼の連絡を頂きました。法令不遵守が長年の課題の一つであり心配が続いていたようで、解決してほっとした、とのことでした。
本当にお疲れさまでした。お役に立てて嬉しく思います。
これからも消防訓練は定期的に続けられますようお願いします。
※防火対象物点検も当社でやっています。よろしければご相談下さい。
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