築古マンションで防火管理者が行う自主点検の重要性

築古マンションで安心して暮らすための「自主点検」
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築古マンションで安心して暮らすための「自主点検」

マンションにおいては、廊下や階段といった共用部分の管理が非常に重要です。特に築年数が経過したマンション(築古マンション)では、配管や設備の老朽化に加え、法令に違反していないものの消防法改定前の基準で設置された消防設備が残っている場合や、反対に設置義務が免除されている場合もあり、複数の問題が重なりやすくなります。

もちろん、築年数が経過していても管理が行き届き、安心して暮らせる優れたマンションも数多く存在しますが、築年数の経過に伴う特有の状況によって、居住者を火災から守る「防火管理者の役割」は一層重要性を増すといっても過言ではありません。

その中心的な業務の一つが「自主点検」です。自主点検とは、防火管理者が法律で定められた責務を果たすために、建物の状況を定期的に確認し、火災予防や避難の安全を確保するために行う日常的な活動を指します。

点検では、防火管理者が建物を巡回し、消火器や自動火災報知設備、避難経路・誘導灯などに不具合がないかを確認します。また、廊下や階段に残置物が置かれていないかといった火災リスクの有無もチェックします。これは消防設備士などの専門資格を要する「消防設備点検」とは異なり、現場を熟知する防火管理者が日常的かつ定期的に行うことで、小さな異常や劣化の兆候を早期に発見できる点に意義があります。

例えば、消火器の安全栓の封が切れている、誘導灯が点灯しない、廊下に自転車が常態的に放置されているなど、一見すると些細に思えるような問題でも、迅速に是正することで重大な事故を未然に防ぐことができます。また、点検で不備を発見した場合は必ず「記録」を残し、管理組合や管理会社、必要に応じて専門業者と連携して改善を図ることが欠かせません。こうした日々の確認と記録の積み重ねが、万が一火災が発生した際に被害を最小限に抑え、居住者全体の安心につながるのです。

築古マンションに見られる特徴と課題

築古マンションでは、老朽化や基準の変化、居住者の高齢化や利用形態の多様化などが重なり、自主点検の重要性はいっそう高まります。主な特徴と課題は次のとおりです。

建物の老朽化
築年数が経過すると、共用廊下の防火戸の閉まりが悪くなったり、避難階段に錆や損傷が進行したりと、物理的な劣化が目立つようになります。こうした小さな劣化は日常点検で早期に把握しておく必要があります。

当時の基準とのズレ
建築当時には適法であった構造や消防設備であっても、現行の基準では不十分とされる場合があります。特に消防法は改正のたびにより厳しい内容へと見直される傾向があるため、建物の実態を正しく把握したうえで、必要に応じて消防署に相談するなどの対応が求められます。

居住者の高齢化
高齢者が多い物件では、避難に時間がかかることが想定されます。階段での避難が困難な方も少なくないため、廊下や階段に障害物がないかを徹底的に確認するなど、点検で注意すべき事項が一層多くなります。

使用形態の多様化
賃貸化や民泊利用など、当初想定されていなかった形で利用されるケースが増えており、共用部の乱雑化や荷物の放置といった新たなリスクが生じやすくなります。

築古マンションで安心して暮らすための「自主点検」

自主点検で確認すべき「避難経路・消防設備・入居者行動」

築古マンションでは、建物の老朽化や居住環境の変化により、火災リスクが高まりやすくなります。防火管理者が行う自主点検は、設備の状態だけでなく、日常の使われ方や入居者の行動に伴うリスクを把握するうえでも欠かせません。以下の点を重点的に確認してください。

避難経路の安全性

  • 廊下や階段に私物や残置物が置かれていないか。
  • 防火戸が適切に閉まるか(ドアストッパーなどで開放されていないか)。
  • 誘導灯に破損や不点灯がないか。

火気・電気設備の管理

  • ゴミ置き場に可燃物や危険物が蓄積していないか。
  • 電気室や機械室が適正に施錠され、危険物が放置されていないか。
  • 共用部のコンセントや配線に過負荷の状況等がないか。

消防設備の管理

  • 消火器や屋内消火栓の周辺が塞がれていないか。
  • 非常警報設備の周辺に障害物がないか。
  • これら消防設備に異常がないか。

入居者の行動に関する点検

  • バルコニーや共用廊下に可燃物が置かれていないか。
  • 喫煙場所の管理が適切に行われているか(非喫煙スペースの状況含む)。
  • 夜間や休日に共用部へ立ち入る外部者の有無や不審な利用がないか。

自主点検は設備の確認だけでなく、入居者の行動に伴うリスクも見極めることが重要です。

管理組合と住民が協力して進める自主点検のポイント

自主点検を形だけのものにせず、継続的に実効性を持たせるためには、管理組合と入居者の理解と協力が欠かせません。そのためには、日々の点検を仕組み化し、結果をわかりやすく共有する工夫が求められます。以下に、実務的に役立つ具体的な方法を示します。

定期的なチェックリストの整備
「廊下の残置物」「防火戸の作動」「消火器周辺の整理」といった項目を明確にし、巡回時に記録を残すことで見落としを防げます。こうした記録は、万一火災が発生した際に、防火管理者が日常的に防火管理に取り組んでいたことを示す重要な証跡にもなります。

点検結果の共有
掲示板や回覧板、管理用ウェブページなどを活用して点検結果を住民に共有することで、改善が必要な点を見える化し、協力を得やすくなります。また、防火管理者には、防火管理上の最高責任者である管理権原者(管理組合がある場合は基本的に理事長)への報告義務があります。そのため、結果の良否にかかわらず、点検のたびに必ず連携してください。

説明方法の工夫
住民への説明は「ルールだから」ではなく「命を守るために必要なこと」という観点から行うと納得を得やすくなります。具体例や実際の事例を交えるとより効果的です。

外部支援の活用
管理組合だけでは対応が難しい場合、防火管理者外部委託サービスを活用することで、点検の精度向上や記録整備、消防署対応まで含めて負担を大きく軽減できます。

なお、防火管理者の自主点検の詳細については、「防火管理者が押さえるべき点検業務の5つのポイント」というコラムにも詳しく書いてありますのでご参考ください。

築古マンションに限らず、建物の老朽化や居住者の高齢化、現行基準との乖離といった課題が重なると、防火上のリスクは高まります。しかし、防火管理者が日常的に行う自主点検は、こうした課題を把握し、改善につなげる最も現実的で効果的な手段です。単なる形式的な義務ではなく、日々の小さな確認と確かな記録の積み重ねこそが重大な事故を未然に防ぎ、入居者の安心につながります。

メルすみごこち事務所の【防火管理者外部委託サービス】では、定期的な自主点検の代行から、点検結果の記録・共有、是正対応のフォロー、消防署対応の支援まで、実務に直結するサポートを提供しています。詳しい内容や導入のご相談・お見積りは、どうぞお気軽にお問い合わせください。なお、防火管理者の外部委託が消防署に認められるには一定の条件がありますが、その確認も含めて当社が管轄消防署と調整いたしますのでご安心ください。

《ご参考》東京消防庁 「防火管理者の業務の委託について」
https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/lfe/office_adv/jissen/p06.html

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