新たな無人店舗の浸透
近年、無人店舗が増えてきました。
食品や衣服などの商品を販売する店舗をはじめ、シェアオフィスやサテライトオフィス、スポーツクラブやシミュレーションゴルフスタジオなど、コロナ禍以降、感染症対策の重要性が強調される中、以前は無人での経営が難しいとされた業態でも、新しいサービスが次々と登場しています。
この増加の背景には、効率化、コスト削減、そして新しい技術の進歩が影響を与えていると言えます。
以下に、無人店舗の増加の主な要因を解説します。
コスト削減
無人店舗は経費(特に人件費)を大幅に削減することが可能であり、効率的な経営が期待できる。特に、人手不足が問題となっている業界においては、無人店舗は非常に魅力的な選択肢となっている。技術の進歩
AI(人工知能)やセンサー技術の進歩により、セキュリティ技術が飛躍的に向上し、様々な業態で無人経営を可能にした。データ収集と分析
顧客の購買データ等をリアルタイムで収集・分析することで、在庫管理やマーケティング戦略を最適化することができるようになった。拡張性と新たな体験の提供
新しい技術を取り入れやすく、市場の変化に迅速に対応することが可能であり、顧客に新しいショッピング体験を提供することができる。
これらの要因から、無人店舗はビジネスモデルとしての魅力を持ち、今後も増加傾向が続くことが予想されます。無人店舗は、小売業界に限らず様々な業界のイノベーションを推進し、新しい顧客価値を生む可能性を秘めています。
無人店舗でも防火管理者が必要なケース
店舗にスタッフが不在であっても、お客様が来店する以上、収容人員に影響が出ます。また、小規模の店舗で収容人員が30名に満たないようなケースであっても、建物そのものが防火管理者を必要とする場合、入居する各店舗には、基本的に防火管理者が1名ずつ必要となります。
防火管理者の責務には、日常の火気管理、避難施設の管理、および消防用設備の維持管理が含まれます。無人店舗はスタッフが常駐していないので、防火管理が難しくなりますが、店舗が自ら防火管理者を選任する場合、次の点に注意が必要です。
- 毎月定期的に現地を訪れ、防火点検を実施する。
- 火気を使用しない店舗であっても、タコ足配線や燃えやすい物の放置など、火気管理に注意する。
- 避難経路上に私物が置かれていないか、避難を妨げる原因がないか確認する。
- 消火器や消火栓などの消防用設備に異常がないか、また消防用設備の前に私物が置かれて使用を妨げる状況がないかを確認する。
- 防火管理上の問題を確認した場合、改善に向けての行動を取る。
- 点検業務の都度、点検実施の記録を残し、防火管理を適切に行っている証とする。
- 防火管理の進捗を管理権原者(店舗責任者等)に報告し、必要に応じてその対応を求める。
- 必要な消防訓練(年1~2回以上)を実施し、事前(場合によっては事後も)に消防署に届け出る。
- 実際の業務に反映させる消防計画・防火管理者の選任届を作成し、消防署に届け出る。
- 人事異動や退職等の理由で防火管理者に変更があった場合、防火管理者の選任(解任)届と消防計画の一部を変更し、消防署に届け出る。
利用者の生命や財産を守るという使命を持つ防火管理者の業務は非常に重要です。しかし、本業に専念しなければならない店舗にとって、必要とされる防火管理者の業務をスタッフに任せるのは容易ではありません。
広く事業を展開している店舗の場合、人事異動などで防火管理者に変更がある度に、防火管理者の選任(解任)届出と消防計画の一部変更を管轄の消防署に届け出なければなりません。さらに、防火管理上の問題が原因で火災事故が発生した場合、防火管理者に刑事罰が科される可能性があるため、スタッフにそのリスクを負わせることについては慎重に考えるべきだという意見が多く聞かれます。
当社はシェアオフィスをはじめ、100店舗以上の無人店舗の防火管理者の外部委託実績があります。
無人店舗であっても、共同住宅や複合建物と同様、防火管理者としての責務をしっかりと果たします。安心してご依頼ください。